葉月の謎

 

 

 

ナオトさんとお別れして、
葉月はしばらくほよ〜〜っとしていた。
放心状態、とまではいかないけど、ぼう然としてしまうって感じ。

でも終わっちゃったことは仕方がない。
「元気出して前向き、前向き♪」
などと自分を励ましたりしていた。

 

でも葉月はここで、ちょっとした行き詰まりを感じていた。
それは、「こんな葉月がたった1人のパートナーと付き合うことなんてできるんだろうか?」
っていうことだった。

 

パートナーの公募をした時は、とにかくちゃんとエッチしてくれて、
なおかつラブラブしてくれる人がいたらいいなぁって思ってた。
ナオトさんはそうしてくれる人だった。
葉月の初めの目的から考えればナオトさん1人とラブラブにお付き合いできればよかったはずだった。

だけど葉月は、ナオトさんだけに決めることができなかった。
ナオトさんにはとてもよくしてもらっていたのに
まだまだ他にもやりたいことがあるって思ってしまった。

あの時の葉月のナオトさんだけに決められなかった心残り感はなんだったんだろうって思う。
もちろん、愛人さんや他の人に対する未練ということもあったと思う。
でもあの時の葉月は「もっといろんなこと全般」に対しての未練を感じていたように思う。
まだまだ他に葉月の知らないことがあるはずだっていうような、未知の行為に対する未練だった。

いろんなこと全般に未練がある葉月が特定のパートナーを持つなんてことが
そもそも無理な話だったんじゃないだろうか。
これから誰とお付き合いしても葉月は「もっともっと」と思い続けるんだろうか。
だとしたら、葉月には特定のパートナーとお付き合いするなんてことはできない。
葉月って、もしかしたら
特定のパートナーを求めちゃいけない種類の女なんじゃないの?
こんな気の多い葉月がパートナーを募集するなんて、相手に対して失礼なんじゃないの?
なんてことを考えた。
そこにはナオトさんを選べなかったことへの罪悪感のような気持ちもあったかも知れない。

どうして葉月はこんなにいつも「もっともっと」って思うんだろうか。
どうしていつも心のどこかで満たされていないような気持ちになるんだろう?

 

 

毎度のことだけど、
こういう時に葉月の思いを聞いてくれるのは保護者さん達だ。(笑)
五月さんには上で書いたようなことをメールで送り、
蔵人さんとはたまたまお茶をする機会があったので会って話を聞いてもらった。

蔵人さんに会うよりも、五月さんからのメールの方が先だった。
そのメールは衝撃的だった。
葉月は通勤で運転中の車の中でそのメールを受信したんだけど、
信号待ちの時にちょっとだけ読み始めて
鳥肌が立ってきたので広い道に車を止めて改めてもう一度読み直した。

五月さんからのメールはこんな内容だった。

 


あのですね、「愛し愛される人」と「全てを充たしてくれる人」は全く別のカテゴリーですよ。
たまたま一致する事もありますが、それは本来は「博士号を持つ三冠王」くらい違う概念です。

ただ、ここからがややっこしいのですが、人間の感情は往々にして「誤解」するので、
上記のどちらかが充たされると、もう片方も充たされた気持ちになります。
もちろん、それは幸福な誤解なんですが。
でも、それが一般的な恋愛です。永続化するかどうかは別としても。
だから人は恋すると充足感が得られ、しあわせになりますよね。

ところが困った事に、高めの女性、頭のいい女性の中に、この誤解を出来ない人がいるんですね。
まあ、これは酔わせられない男にも問題があるんですが。
そうすると、なまじ自分が高めなだけにより高い男は絶対数からして少ないし、
普通の男に対しては自分のほうが格上(高め)である事もあって、
相手の事を愛してるんだけど充たされない(性の部分だけじゃないですよ)、愛されてるけど充たされない。
結局、出会いと別れをくりかえしてしまう…いわゆる「青い鳥シンドローム」に近いものです。

(中略)

そして、どこかで『裏の誤解』とでもいうべき逆転現象、「充たしてくれる人→愛する人」になってしまいます。

葉月さんとナオトさんでは、葉月さんの方に余裕がありました。
直球勝負はあんまりドキドキしないかな?くらいの。
強者はやっぱり葉月さんですよ。
で、その二人の恋愛。
葉月さんの立場は、たしかに愛しあっているんだけれど、なんか満足はしきれない。

そうすると女性は、だいたい二つのパターンに出ます。
ひとつは、出会いと別れを繰り返す。
もうひとつは、同時に複数、または多数の男と付き合って、トータルで埋めようとする。
どっちもそれなりの弊害があります。

もともと葉月さんは、男性側にリードされてむしろ翻弄されるような付き合いを希望されていた方。
それこそ、男の手のひらの上で踊らされるような。
それは「複数のご主人さま、あるいは彼」を持つことでは埋められにくいですよ。

 

 

ところどころ省略したので途中文章が繋がらないところがあるけれど、
実際にはこの3倍くらいの量のメールで、
内容は大体こんな感じだったわけだ。

上でも書いたけど、
葉月はこのメールを読んだ時に鳥肌が立った。
「そそそ、そうだったのかぁ〜〜〜!」っていうやっと謎が解けたような気持ち。

「高め」とか「格上」っていう表現は葉月にはよくわからないんだけど
葉月なりに解釈すると「大変」とか「難しい」ってことかな、なんて思っている。
確かに葉月は相手の人が考えていることが読めてしまったりすることがある。
エッチの時のことで言えば、読めてしまった時点で冷静になる。
それで没頭できないことが多い。

もっと葉月を混乱させて欲しいのに、
もっと葉月をハラハラドキドキさせて欲しいのにって思ってた。

「男の人の手の平の上で踊らされるような関係」

確かにそんなのに憧れてた。
それは五月さんにも言ったことがあるし、
五月さんとのお試しプレイでローソクでわけのわからないうちに気持ちよくされちゃったことは
まさしく「手の平の上で....」だったわけだ。

 

だけど逆に、ナオトさんとのエッチは等身大で、
安心して楽しめるエッチだった。
自分のやって欲しいことは何でも言っていいし、
気持ちよくなるためにそれを口にすることはお互いのルールみたいになっていた。
それはそれで葉月はきっちり気持ちよくしてもらっていたし、
不満なんて感じたことはなかった。
「手の平の上で踊らされる」んじゃなくて「一緒に踊ってる」みたいな感覚。
葉月はナオトさんとのエッチは大好きだった。

だけど、葉月の中ではどこかで
「もっと別のもの」を求めていたことは事実で、
それが何なのか自分でもよくわからなかったので
「他の人ともいろんなエッチしてみたい」
っていう表現になっていたんだ。

 

五月さんの言う「全てを充たしてくれる人」っていうのがどういう人なんだか葉月にはわからない。
その経験がないので自分のどういう状態が「全てが充たされている」んだか想像できない。
だけど、葉月が漠然と「もっともっと」って常に思っていたのは
全てが充たされてなかったってことで、
葉月のこの貪欲さはそこから来ているものなんだなってやっとわかった。

 

「愛し愛される人」と「全てを充たしてくれる人」が別のものだっていうこともなんとなくわかる。
葉月はナオトさんを愛してたし、愛されてもいたし、充たされてもいたけれど、
「全てを」じゃなかったっていうことか。

五月さんのメールの中には別のところにこんな一文もあった。

 

今まで誰も葉月さんを充たせる能力がなかったんですよ。
愛は充たせても、葉月さんが望むところの
「自分より優位なオスの前で、メスとして服従・甘える事への願望」
(それは日常からの避難でもあります。
母として、または仕事上の立場として、常にある意味でのリーダーシップをとらなければならない事からの脱出)
という希望を充たすには。

 

ここまでハッキリ言っちゃうか〜い?って感じだな。
でも確かにね、葉月はそういうのを求めていたのかも知れない。
自分では「手の平の上で....」っていうような表現しかできなかったけど
こうして言われてみると「そうそう、そういうの!」って思うもの。

さすが能書きについては超一流だな。
そしてこの能書きはすべて、五月さんの経験談からきているところがまた凄い。
葉月はなんだかね、ずっとモヤモヤしていたことの答えをもらったような気がした。

 

そして五月さんのメールは続く。

 

じゃあ葉月はどうすれば…ですよね。
基本的には「二次募集」も含め、出会いの機会を増やす事がやはり最短かとは思います。
(今はまだそういう気分ではない、と思いますが)
簡単な気持ちで言っている訳ではないですよ。
でも、五月のカノ達にしても、それこそ紆余曲折、苦労に苦労を重ねて五月にたどり着いた訳です。
やはり「自分にとっての」最高の男を手に入れるのは、容易ではないです。
でも、本当の満足は多分そうしないと得られないですよね。

 

 

 

二次募集も含め.....?
出会いの機会を増やす.....?

 

 

 

 

 

 

 

 

ここまで言っておいて
「だから俺のところに来い!」
じゃないのか〜〜〜〜!!!
(-_-メ)

 

 

 

あーあ。
さすが自他共に認めるヘタレの能書き男。
ここまでネタばらしをしておいて、 最後のオチは「二次募集しろ」かいっ!(とほほ)

まったく最後の最後まで楽しませてくれる人だ。
実はこのメールは3本目の「五月杭」だったんだと思うんだけど、
さすがに葉月はその杭をかわしてしまって、
オイシイところだけをもらうことにした。

でもね、教えてもらえてよかったと思った。
全部じゃないんだけど、ずっとわからなかった葉月の謎がちょっと解けたから。

 

だけど、ここまでわかっているのにどうして五月さんと蔵人さんは
ナオトさんを選ぶことを薦めたんだろう?
それがわからなかったから葉月は五月さんに聞いてみた。

 

ナオトさんに逆転の可能性を感じたからです。
要するに、ナオトさんが葉月さんに「あなた以外は何もいらない」と思わせるほど好きにならせる可能性ですね。

 

五月さんも蔵人さんも、ナオトさんの真っすぐで純粋なところを
「自分にはないもの」と認めて一目置いていた。
特に五月さんはナオトさんのストレートな愛し方をとても評価していて
葉月とのメールで「頑張れ、ナオト!」なんて叫んでたくらいだった。(なんなんだよ〜)
本当にナオトさんと葉月を応援してくれていたんだよね。

そう、時間が経てば葉月の気持ちもどうなるかわからなかった。
まだまだ発展途上の関係だったし、まだまだこれからだった。
五月さんが予想(期待)していた通りの関係になれたかも知れない。

 

 

五月さんからこの衝撃のメールをもらった少し後に蔵人さんと会ったんだけど
葉月は五月さんからのメールのことは何も言っていなかったのに
蔵人さんは言葉は違うけど五月さんとほとんど同じような話を葉月にしてくれた。
このことには本当にビックリした。
五月さんと蔵人さんって、本当は裏で繋がってるんじゃないの?って
思ったくらいだった。

五月さんは「高め」って表現を使っていたけど
蔵人さんも「高さ」の話をしていたな。
スキルや経験も含めて、自分よりもちょっと高いところにいて
葉月が覗き込めないような位置にいる人と付き合うのがいいんだ、っていうような話だった。
かけ離れて高いところにいる人とじゃ一緒に成長できないから
葉月はいいけど、その相手が楽しめないんだそうだ。

 

 

でもね〜、ここへ来てこういう話をされてもね〜〜。
五月さんの言う通りに「それじゃすぐに二次募集〜♪」って気分にもなれない。
見ている人がどう思っていたからはわからないけれど、
パートナーを公募して、候補になった人全員とお試しプレイをする、なんてこと
羨ましいと思った人もいると思うけど
これはこれで精神的にも肉体的にも結構大変で、
サラッとやってたわけじゃない。

もちろん、楽しんではいたし充実もしてたし一生懸命でもあった。
でも、モチベーションってそんなに続かない。

女として「最後の大勝負!」みたいな気持ちだったからね。
絶対にいい人みつけるぞ〜〜っていう意気込みもあった。
「いい人」はたくさんいた。
って言うか、全員「いい人」だった。

だけど、そこは「いつも『とほほ』な葉月ちゃん」のキャラクター通りで
なかなかうまくはいかないものなのね〜〜。

しかも五月さんと蔵人さんの話によれば、
こんな葉月を満足させられる人っていうのは人口的に少ないってことらしい。
これまた「とほほ」な真実だ。

 

 

「それじゃ葉月はどうしたらいいんですか!」
葉月はちょっと口をとがらせて蔵人さんに喰ってかかった。

「まっ、ゆっくり探せばいいじゃないですか」
「ゆっくりったって、それじゃその間誰ともエッチできないじゃないですか〜!」
「そのために僕がいるでしょ?補欠ですから(にっこり)」

 

あのね〜〜〜!(-_-;)


 

ガンを宣告された患者が
「でも治る可能性がまったくないってことじゃないですから」
って医者に励まされてるような気分だ。(とほほ)

ま、でもそんなに簡単にパートナーが決まっちゃったら
「とほほな葉月ちゃん」のキャラクターに反するしね。(そういう問題かい!)

それにね、いい経験をたくさんさせてもらった。
自分がちゃんと気持ちよくなれるんだってこともわかったし、
極上の恋もさせてもらったし、
ワクワクドキドキもたくさんあった。
そして「遠慮がち」と「バカヤロー」な有能な保護者が二人。
(なんだか変なことになちゃったよ。とほほ)

 

ということで、葉月のパートナー募集とお試しプレイ&それ以降の選考は
こんな形で一旦区切りを付けることになったのだった。

らしいっちゃらしいよね。

 

 

そろそろ終わりにしたいんだけど、
まだもうちょっと書きたいことあるので続きます。

 

 

 

 

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