くじら

 

 

 

葉月は「自分から誘う」ということに臆病になっている。
その根底にあるのは、リュウさんに「会いたい」と言った時に
リュウさんがいつも困った顔(電話でもそれはわかる)をしていたという経験なのかも知れない。
じん太さんも「会う時期は自分が決める」人だったから
葉月はおとなしく待っているしかなかった。

迷惑がられたくないし、うるさいヤツと思われたくない。

そもそも自分にそんなに自信があるわけじゃない。
自分が相手に求められているのかどうか、いつも不安に思っている。
だから会いたくてもエッチしたくても自分からは誘えない。

「エッチしてくださいよぉ」とか
「おまんこしたいよぉ」とか
冗談めかしては言えるけれど、具体的な話は自分からはできない。
「お時間ある時、葉月でよければ誘ってくださいね」
なんて、「こっちにその気はありますよ」っていう意思表示をしておくくらいが限界だ。(笑)

ただ、ナオトさんだけは違ってた。
「いついついつ〜〜?今度はいつ〜〜?」
「来週の月曜日は?じゃ火曜日は?それじゃ水曜日は〜〜〜?」
みたいな感じで「具体的な話」バリバリだった。(笑)
本当にナオトさんは「特別」だった。
ナオトさんの真っすぐさに反応して葉月も真っすぐになれてたんだね、きっと。

 

ナオトさんは特別だったけど、
エッチは「してもらう」もの、デートは「遊んでもらう」こと、って思ってる葉月にとっては
自分から誘うってことは本当に滅多にない。
蔵人さんにメールをしたのも「誘った」って感じではない。
「お願いをした」んだ。

蔵人さんはそんな葉月の性格をよくわかってくれてるので
「これは普通じゃないな」って思ってくれたんだと思う。
「善処します」という返信があって数日後に葉月のために時間を作ってくれることになった。

無理させてるなぁってわかってた。
蔵人さんのお仕事がめちゃめちゃ忙しいってことは聞いてたし、
そんなに簡単に時間が作れるならお試しプレイ二巡目の時点でもっと早く遊んでくれてたはずだ。
でも、この時の葉月のぺしゃんこ状態は
蔵人さんのその「無理」にも甘えたかった。

 

そして、時間的なことだけじゃなく、
こういう状態で「駆け込み寺」のように蔵人さんを利用することも
申し訳ないと思っていた。
本当ならもっと前向きに、元気な状態で蔵人さんに遊んでもらいたかったのに。

「ごめんなさい、蔵人さん」
葉月がそのことを謝ると
「いいですよ。むしゃくしゃしてんでしょ?」
って、蔵人さんは優しく笑った。

そう、そうなんです。
むしゃくしゃもしてるし、凹んでもいるし、
どうしていいかわからないんですよ。
無気力なんだけど、何かをしたい欲もある。
欲というか、焦りみたいな気持ちもある。
結局むしゃくしゃしてるんですよ。

理屈じゃない葉月のそういう気持ちをわかってくれてるところがすごく嬉しかった。
本当にそう、理屈じゃなかった。

 

後になってから思い返すと
この日の蔵人さんとのデートでのことは、すべてが葉月を元気づけるためのものだった。
行き場のない葉月の気持ち(=むしゃくしゃ)を蔵人さんのところに持ち込んだことで
自称「クレーム処理係」の蔵人さんはその葉月のむしゃくしゃをすっかり飲み込んで、
代りに元気を注入してくれた。
今までずっと「保護者」の立場に甘んじていた蔵人さんが重い腰を上げてくれたからには
きちんと「仕事」をしてくれる。(笑)
そんな実感のあるデートだった。

渋谷で待ち合わせをしてまずはセビアン(SMやボンデージ系のお道具屋さん)でお買い物して
普通の恋人同士みたいなランチデート。
あ、普通じゃなかったのはランチの途中でセビアンで買ったリモコンローターをトイレで仕込まされたこと。

「アルファに行きますか?それともこの近くにしますか?」
どーして葉月にそういうこと聞くの?(汗)
どこでもいいからさっさと連れていってくださいよぉ。
と、口には出さずに目で訴える。
そうすると股間のローターがなぜか動き出す。
「うわっ、はい、それじゃ渋谷で。できれば花柄のベッドカバーがついてるような可愛いお部屋で」
などとわけのわからない返事をする葉月。(とほほ)

 

蔵人さんが連れて入ってくれたのは新築っぽい綺麗なファッションホテル。
一番広いお部屋を取ってくれた。
葉月は急にドキドキしてきた。
お試しプレイの時の、あの手術室みたいなお部屋で感じた異様な雰囲気がフッと蘇ってきた。

「今日はこんな形でお付き合い頂いてしまって本当にすみません。よろしくお願いします」
葉月は改めてご挨拶をした。
「はい」
蔵人さんは短くそれに応えてくれた。

プレイレポートのコーナーじゃないので詳しい過程は書かないつもりなんだけど、
葉月はこの後、上半身は服を着たまま、下半身だけ裸になって椅子に脚をM字に拘束されていた。
腕は後ろに回した状態で縛られていた。

ローターとかバイブとかでおまんこを散々気持ちよくしてもらってたんだけど、
そのうちに後ろに回した腕が痛くなってきた。
我慢してたんだけど、痛みがだんだん強くなってきてそっちに気が取られるようになってきた。
こういう時は続けていてもこれ以上は気持ちよくなれないことを知ってる葉月は
蔵人さんに「腕が痛いです」って申告した。

だけどその時蔵人さんは何故か
「もうちょっと待って」みたいなことを言って腕を解いてはくれなかった。
「待つ」ってどういうことよ?って、葉月は意味がわからなかった。

わからなかったけど、解いてくれないんだったらできるだけおまんこに意識を集中しようと思って
なるべく腕の痛みを考えないようにしていた。
葉月はのけ反るような体勢になってきてたので蔵人さんの表情はわからない。

そのうちに.....おまんこがカーーーーッて熱くなってきた。
うわわわ、なんか熱い!
これってヤバいんじゃないの?
熱いけど、気持ちいい。
けど、このままやってて大丈夫なの〜〜?
葉月は気持ちよさと初めての感覚に対する不安を感じながら
うーうーあーあー叫んでいた。
ってその時、蔵人さんの動きが止まっておまんこから蔵人さんの指が引き抜かれた。

「葉月さん.....」
「はひぃ〜〜〜」
葉月はやっと解放されるっていう安堵感から力が抜けていた。

「これ、なんだと思いますか?」
蔵人さんは自分の手の平を葉月に見せた。
その手の平はぐっしょり濡れてた。

「え〜〜とぉ...おまんこ汁?」
「いえ、潮ですよ」

えっえ〜〜〜っ? 潮ぉ〜〜〜〜???

 

ぐったりしていた葉月が潮と聞いてビックリして体を起こした。
と言っても腕は後ろ手に縛られていたので首から上しか起き上がれなかったけど。

「ほら♪」
「うっわ〜〜、ホントだ。ぐしょぐしょだ!」

「ちょちょちょ、ちょっと、蔵人さん、その手、写真撮っておいてください!!!」

 

 

わからんなー。この写真じゃ。(残念!)
わかるのは蔵人さんの人さし指と中指がふやけてるってことだけだな。
それだけ頑張ってくれてたってことだな。

とにかく蔵人さんの手の平は、粘り気のないサラッとした水分でぐしょぐしょになっていた。

 

「でもどうして?」
「葉月さんが潮吹いてみたそうだったから」
「え?」
「さっきセビアンで見てたでしょ?」
「あ!」

セビアンで、蔵人さんが会計している間に葉月は媚薬コーナーをちょっと覗いてた。
そこには「潮吹き媚薬」なる塗り薬があって、
葉月は「うさんくさい薬だなぁ」って思いながらそれを手に取って見ていたりしたんだった。

会計を終えた蔵人さんが後ろから寄ってきて
「それ、買いましょうか?」って声かけてくれたんだけど、
「いえいえいえ、葉月は潮なんて吹けませんからあっても無駄です!」
って言って慌ててその薬を棚に戻したっていう場面があった。

潮吹きたそうな顔してたのかって、なんだか恥ずかしくなった。
それにしてもそういうところの蔵人さんの観察力は凄い!
しかも、潮なんてものに縁はないって思っていた葉月にその日のうちに吹かせちゃうなんて、
誰でもできることじゃない。

 

「ね?潮だってちゃんと吹けるんですから自分はどうせダメだなんて思っちゃダメですよ 」
「はいぃ〜」

本当に、「どうせダメだ」って思ってた。
自分は普通の女の人とは違うんだと思ってた。
「潮」なんて、一部の特別な人だけが吹けるものだと思ってた。

このことだけで葉月は、自分がなんだか一人前の女になったみたいな
すっごい嬉しい気分になれた。
「わーいわーいわーい♪アタシにもできたぞ〜〜♪」って気分。

この時葉月が凹んでいたのは「おまんこでイケない」レベルのことではなくて
前のページで書いたような「いくら頑張ってもピエロ」的なことが原因だったんだけど、
人間っていうのは結構単純で(葉月だけか?)
ひとつ嬉しいことがあると気分が上向きになってくる。

 

後から蔵人さんに聞いたところによると、潮を吹くためにはいくつかの条件があって、
(その条件っていうのを聞いたけど、なんだか忘れちゃった)
途中までやったところで「もしかしたら行けるかも?」って思って
「潮目的に切り替えた」んだそうだ。
「潮目的」ってのが凄い。(笑)
ちょっと説明を聞いたけど、興奮していた葉月はそのお話しをよく覚えていない。
なんだかいろいろとやり方があるらしい。

初めて吹かせてもらった感想は、
確かに普通に気持ちよくしてもらう感じとちょっと違ってた。
おまんこの中が熱くなる。
痛熱いような感じ。
焼けるような感じ。
うっわー、なんだこの感じ???って思った。
いつ吹いたのか、自分ではわからなかった。

潮を舐めさせてもらったんだけど、味はしょっぱかった。
もちろん、蔵人さんの手の汗とか葉月の汁とかいろんなものが混じった味だったのかも知れないけど。

 

「蔵人さん、葉月は潮を吹かせてもらって嬉しいです。」

今日のこの日を「くじら記念日」とすることにします♪

 

すっかりゴキゲンになってしまっている葉月。
その葉月を見る蔵人さんは子供の成長を見守る親のような顔してた。
どこまで行っても「保護者」なのよね〜、やっぱり。

 

(続く)

 

 

 

 

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