休養の理由2

 

 

 

じん太さんに会いたいなぁ...って葉月は思っていた。

漠然とだけど、じん太さんにはもう会えなくなるかも知れないと思ったから。

 

ナオトさんはじん太さんと会うことは認めてくれるみたいだったけど、
それがナオトさんの本意じゃないことはわかっていた。
名古屋に行かせてもらったとしても
「すっごく楽しかったよ〜♪」なんて報告をしようものなら
いきなり機嫌が悪くなることは目に見えていたし、
葉月も「自分の権利を主張する」みたいなやり方で強引に行かせてもらっても心から楽しめない。

「楽しんでおいで」って送り出して欲しかったし
「楽しめてよかったね」って言ってもらいたい。
「この人!」と決めてパートナーに選んだからには
その人に嫌な思いをさせてまで自分が楽しもうとは思わない。

 

そういう気持ちが確かにある一方で、
「本当に葉月はそういうのでいいんだろうか?」っていう不安もあった。
これからもずっと、ナオトさんを悲しませないために自分のやりたいことを我慢して
サイトにも書きたいことは書けずに
ずっと気を遣いながら付き合っていく関係。

ナオトさんのことは大好きだけど、
本当にこれでいいのかなって思っていた。

 

だから...だからっていうのも変なんだけど、
じん太さんに会えばその答えがわかるような気がした。
なんとなく、そんな気がした。

 

この時葉月は自分の体に変化が現れているのに気付いていた。
葉月は、少しずつ感じやすくなってる。
ハッキリした根拠があるわけじゃないんだけど、
自分のことをおまんこ不感症だと思っていた時期とは明らかに違う。
これはたぶん、ナオトさんが短期間に、集中的に、
葉月を丁寧に気持ちよくしてくれたことによるものだと葉月は感じていた。

ナオトさんには「他にもいろいろ男はいるんだろ?」なんて言われて
世間からも「淫乱、ヤリマン」などと批判されてる葉月ではあるけれど、
実はお試しプレイを一巡した後、夏の間はナオトさん以外の人とはエッチしていなかった。
惚れっぽい割には葉月は案外一途なところもあって(って説得力ないけど)
本当にナオトさんだけだった。

 

うまく言えないんだけど、本当に的確な表現がみつからないんだけど、
葉月は自分の肉体にとても可能性を感じ始めていて
なにかほんのちょっとのことで大爆発するかも?っていうような予感がしていた。
単なる欲求不満っていうのとは違う。
なんだかもっと、「変革」のようなもの。

このウズウズするような気持ちがなんだかよくわからないんだけど、
じん太さんに会えばわかるような気がした。
じん太さんには6月に呼んでもらったきり会っていなかったので、
この数ヶ月の間、葉月がこれだけ変化したってことを見てもらいたい気持ちもあった。

パートナー選びのことではじん太さんにいろいろと心配をかけていた。
ナオトさんとお付き合いしようと思うってことは報告してあったけど、
ナオトさんとお付き合いすることで名古屋にはもう行けなくなるかも知れない
(っていうか、葉月が行かなくなるかも知れない)っていうことはまだ伝えていなかった。

 

先のことはわからないけれど、もしナオトさんとお付き合いすることになれば
これが最後かも知れない。
でも、じん太さんに会えば葉月の「本当の気持ち」が何かわかるかも知れない。
今の自分のこの肉体の変化が何なのか、それもわかるかも知れない。
ナオトさんじゃないと感じない体なのか。
それとも葉月自身の変化なのか。

本当にうまく言えてないけど、そういう複雑ないくつもの思いがあって、
葉月はじん太さんに会いたかった。
今、会わなくちゃいけないような気がした。

だから勇気を出して 「会いたい」っていうメールを出したんだ。
それは葉月なりに、思いを込めたメールだった。

葉月はじん太さんに、自分から会いたいって言ったことは今年の2月以降、ない。
じん太さんは自分が会いたいと思った時にだけ誘ってくれる人なので
葉月から「今度はいつ?」的なことを言われるのをとても嫌う。
だから、こんなことを葉月が言い出すということで
葉月がそれだけ真剣で、普通ではない状態だということが伝わるはずだった。

もちろん、これが最後かも、なんてことは書かなかったけれど。

 

でも、じん太さんからは意外な返信が届いた。

 

 

輪姦希望の女性を公募したら応募が殺到して、その対応に追われてる、とのこと。
「毎日そのメールだけで手いっぱい」なんだそうだ。
その女性達と順番に会うことになっていて

10月は○○ちゃん、11月は○○ちゃん、12月は○○ちゃん、
あとは来年ってことになってます。
だから物理的に無理っぽいです。
すいませーん。(^_^;)汗ドドー

 

 

呼吸が15秒くらい止まった。

「すいませーん」って、なんだ?って思った。

自分の中で何かがしゅるしゅるしゅる〜〜〜ってしぼんで行くのを感じた。

 

ナオトさんからコンテンツの削除を言われて凹んでいた葉月は
このじん太さんからの返信で完全にぺしゃんこになった。
何もする気が起きなくなった。
とてもショックで...すべてが嫌になった。

ナオトさんとのお付き合いに関して葉月が一番守りたかったのは
「じん太さんに会える環境」だった。
だから募集条件にも「愛人さんとのデートを認めてくれる人」っていう非常識な条件を書いた。
それだけ大切に思っている人だったからだ。
なによりも失いたくなかったからだ。

葉月が守ろうとしてたものはなんだったんだろう?
何をこんなに必死に頑張っていたんだろう?
結局葉月なんて、「特別な愛人」とか「大切にしてる」とか言われていたって
じん太さんにとっては「すいませーん」で片づけられちゃうような簡単な女で、
いくら一生懸命サイトを作っていたって
ナオトさんのヤキモチで簡単に削除されちゃうようなそれだけのもので、
一生懸命やればやるほど、自分がピエロなんだって思えてきた。

 

 

この日のうちに、BBSのお留守番をhikaruさんと桜子さんと杏子さんにお願いして
(自分にそれだけの力が残っていたことに感謝してる。)
葉月はしばらく休養宣言をしたのだった。

 

 

本当は、すぐに会えるなんて思っていなかった。
忙しくて会えないっていうのは仕方ない。
輪姦の約束が優先だっていうものわかる。
だけど葉月は自分の思いが「すいませーん」でかわされたことがとてもショックだった。
じん太さんとは今まで何度もつまらないことでケンカしてきて
お互いにひどいことを言ったり言われたりもしたけれど、
このメールは今までで一番ショックなことだったかも知れない。

「ごめんね、葉月ちゃん」
って、以前のじん太さんなら言ってくれたはずだった。

「こういう事情で今すぐには無理だけど、来年になったら会おうね」
とかって、「気持ち」があれば言ってくれると思ってた。

どうしてそうは言ってくれないんだろうって、
じん太さんからのメールを何度も何度も読み返して考えた。
ニュアンスを読み違えてるのかな、とも思ったけど、
でも読めば読むほど「すいませーん。(^_^;)汗ドドー」の活字から愛を感じることはできなかった。

葉月の日本語の感覚では「ごめんなさい」と「すいませーん」は使う場所が違う。
真面目に何かを言ってきてる相手に対して
本当に悪いな、申し訳ないな、と思った時に「すいませーん。(^_^;)汗ドドー」とは言わない。

葉月は、葉月が思いを込めて送ったメールに対して
どうしてじん太さんがこういう返信をしてきたのか、それがさっぱりわからなかった。
問合わせのメールを出したけど
そのじん太さんからは10日以上も返信がなかった。

 

後になってじん太さんからは
「葉月に会いたくなかったからああいう言い方で誤魔化した」っていうメールがあった。
葉月に会ってももう葉月の中に「葉月」はいないんだそうだ。
しかも、輪姦で忙しいって言ってた相手の女性のうちの1人は葉月の友達だったってことももっと後になって知った。
これはじん太さんから聞いたのではなく、友達の方が輪姦が終わった後に告白してきたことだ。
じん太さんからはこのことについて、直接葉月には何の説明もない。
まぁこのことはごくごく最近のことで葉月の休養とは何も関係ないんだけどね。

でも、以前のように心が通い合っていた(と葉月は思っていた)じん太さんはもういないんだって、
葉月はこの「すいませーん」のメールから知ることになる。
このメールを受け取ったのは今これを書いてる12月の2ヶ月も前だけど、
今でもこの「すいませーん」のメールを読み返すと悲しくて涙が出てくるし、
今さら読み返すまでもなく何度も何度も読み返したのでもう暗記しちゃってる。(悲しい暗記)

 

とにかく葉月は一時的に完全な無気力感に襲われていた。
サイトを急にお休みしたことでナオトさんは驚いて心配の電話をかけてきてくれた。

「ちょっと疲れちゃったから。心配しないで」
そんなことを言ったような気がする。
ナオトさんはいつも優しい。
ナオトさんを責めるつもりはなかった。
ナオトさんを嫌いになったわけじゃない。

だけどこの時の葉月は電池切れのロボットみたいに何をするエネルギーもなかった。
脱力感と無気力感と絶望感、のようなもの。
たぶん、顔も無表情だっただろう。(笑)

 

 

そして何日か経った時、
葉月は蔵人さんにメールをしていたんだ。

「はじけたいんです。葉月と遊んでください」

 

 

 

 

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