決断

 

 

 

「今日は虐めるからね」

葉月には何のことなんだかよくわからなかった。

この日はマジックテープを使って簡単に拘束できる手枷&足枷のセットを買ってあった。
葉月はそれを使って、ベッドに大の字に拘束されようとしていた。
その作業をしながら、ナオトさんは葉月に「わかったよ」と言った。

「わかったって何が?」
「葉月ちゃんの本当の気持ちが」
「へ?」

 

葉月は完全にベッドの上に大の字に拘束されていて、動けない状態になっていた。
拘束セットと一緒に買ってあったお揃いのアイマスクもされた。
そういう状態の葉月に、ナオトさんは話を続けた。

「俺、初めてちゃんと全員のお試しレポートを読んでみたんだ」
「今まで読んでなかったんですか?(驚き)」
「うん、ちゃんとはね」
ナオトさんは他の人との葉月のお試しプレイなんて見たくないってことで
今まで自分以外のページは読んでいなかったらしい。

「それでわかったよ」
「わかったって、何が???」
「本命は俺じゃない」
「え?」

「本命は五月さんなんだろ?」
「え?」

「そう言えば葉月ちゃんは俺にもよく五月さんの話をしてたよな」
「え?(そそそ、そうだっけ?汗)」

「俺は、本命のヤツが遊んでくれない時の性欲処理の男だったんだよな?」
「えええっ????」

目隠しをされてたのでナオトさんの表情はわからなかったけど、
口調はとっても厳しくて、葉月は初めてナオトさんを怖いと思った。
五月さんが本命だったというかつての事実を指摘されて、
でも「今は違う」という、口にすれば嘘っぽくなる事実をどうやって説明すればいいのか
それがよくわからなくて返事にちょっと躊躇していた。

ナオトさんはそんな葉月のおまんこを触ったり、ローターやバイブを使ったりして、葉月を責めにかかった。

「結局、俺は利用されてたってことなんだよな?」
「誰が本命なんだか言え!」
「結局オマエは誰のちんちんでも入れてもらえれば喜ぶ淫乱女なんだよな?」
とかなんとかいろいろ言われて、
いつもは凄く優しいナオトさんがこの時はなんだかメチャメチャ乱暴にバイブで責めてきた。。

ナオトさんは逆上モードに入ってた。
アブナイ感じではなかったけど、本気だなって感じがした。
「俺の知らないところで、いつも誰かのを入れてるんだろ?」とか
「候補者の他にも本当はたくさん相手がいるんだろ?」とか
まったく身に覚えが無いことを言われながら
葉月はまるで拷問のような責めを受けていた。

葉月は「違う」とか「イヤ〜〜!」とか言いながらも、
そんなナオトさんの責めに結構感じてしまっていた。
(後から聞いたら「今までで一番濡れてた」んだそうで。とほほ)

 

今まで葉月がやってきたことは、結局『ごっこ』の域から抜けてないことばかりだった。
責めるとか虐めるとか言っても、相手の人は葉月を感じさせるためにやってることで、
そのことはなんとなく頭の隅っこでわかっているから安心して楽しめる。

でも、この時ナオトさんにされたことは、「葉月のため」って感じはまったくしなくて、
本当に拷問にかけられてるみたいだった。
バイブでおまんこが壊れちゃうんじゃないかって思ったほどだ。
(もちろん、手加減はしてくれてたんだと思うけどとにかく乱暴だった。)

その『ごっこじゃない』ところに葉月は興奮してたんだと思う。
その時にはそんなことを考える余裕はなかったけど、
あの時は本当に、理性を保つのが精一杯だった。


ナオトさんのそんな本気の責めに、葉月も本気で感じていたけれど、
ナオトさんがある言葉を言った途端、葉月は急に冷めた。

 

「もうラブラブなんてしないからな!」

「え....?」

 

その言葉に葉月は急激に悲しくなった。
五月さんが本命なんだろうとか、俺を利用してたのかとかって言われても困るし
性欲処理にしてたのかって言われると、それは全然違う!
まぁでもそこら辺までは葉月は責められる理由としては納得できた。

確かに本命は五月さんだったかも知れないけど、
でも能書きばかりで全然遊んでくれない五月さんよりも、
毎日何度もメールくれて、実際に何度も気持ちよくしてくれて、
「愛してるよ、愛してるよ♪」って葉月のことをストレートに可愛がってくれる、
そんなナオトさんとの「ラブラブ」の方を葉月は選ぼうと、やっと決めたところだった。

そのラブラブを「もうしない」って言われて、葉月は急に淋しくなってしまった。

葉月の声が急に止まって、どんなにバイブで突かれても無反応になった。
ナオトさんは葉月の変化にすぐに気付いて「どうしたの?」って聞いてきた。
目隠しを外されると、葉月の目からはそれまで目隠しで押さえられてた涙が
どどどどどーーーーって溢れ出した。

「どどど、どーしたの?葉月ちゃん?痛かった???」
ナオトさんはいつもの優しいナオトさんに戻って、葉月を心配してくれた。

 

「だってぇ、だってぇ、もうラブラブしないって...うわわーん...」
もう涙が止まらなくてわんわん泣いてた。
ベッドの上で大の字に拘束されて、おまんこはびしょびしょで、しかもまだバイブが刺さったままの状態で、
わんわん泣くっていうのも変な感じだった。

 

葉月は、ナオトさんにラブラブしてもらえなくなるのは嫌だと思った。
それは理屈じゃなく葉月の正直な「感情」だった。
なんだかんだ言っても、
リュウさんとお別れしてからの葉月の心にぽっかり空いてしまった淋しさの穴を埋めてくれていたのは
ナオトさんのラブラブだったんだ。
五月さんの能書きじゃない。

ストレートで真っすぐな感情だったから、ナオトさんは葉月の心の穴にスルッと入って来れた。
その穴がとりあえず埋まっていたから、葉月はいろいろ贅沢になって
あれこれ不満を言ったり、他の人と比べたりできてた。
それがわかったような気がした。

そう思いながら「ナオトさんにラブラブしてもらえないのは嫌だ、嫌だぁ〜〜!」などと、
しばらくギャーギャー泣いていた。
ナオトさんは葉月のそんな反応にビックリしながらも
「ラブラブするよ、これからもずっと」
って、キスしながら葉月をあやしてくれた。


拘束を解いてもらって、それからいろんなお話をした。
まずナオトさんは2日半いろいろ考えて、ある決意を固めて来たんだ、という話を始めた。

葉月の本命は自分じゃないってことはわかった。
だったら自分はその他大勢の中の一人でもいいから、
その立場に甘んじることにしよう。
そう決めたんだそうだ。

「その代わり、俺も葉月ちゃんの他に愛人を作る!」
ってナオトさんは言った。
「相手が葉月ちゃん一人だとどうしてもヤキモチをやいちゃうし葉月ちゃんを独占したくなるから」

「それって、葉月と付き合うためにもう一人愛人を作るってこと?」
「まぁそういうこと。それしか方法がないと思った」

凄いこと考えるなーって思った。
ナオトさんには遠距離の彼女さんがいることは聞いていたけど、もう終わりかけてるとのこと。
その彼女さんとは別に、違う愛人さんを作ると言っている。

「だから、俺はその他大勢でも性欲処理の相手でもいいよ」
本気で言ってるみたいだった。

 

ナオトさんの決意は聞いた。
今度は葉月の気持ちを語る番だ。

「葉月は....ナオトさんをパートナーに選ぼうと思ってたんだけど」
葉月はそこまで言って、ナオトさんの反応を見るために言葉を止めた。

「それは嬉しいけど、でも結局葉月ちゃんはいろんな男といろんなセックスをしてみたいわけだから、
俺一人ってことじゃないんでしょ?」
もうちょっと喜んでくれると思ってたんだけど、
思ってたよりシビアな答えが返ってきた。

「それは...まぁそうなんだけど...」
葉月はそこで、歯切れの悪い返事。

「じゃぁ、パートナーって何なの?」
ってナオトさんに切り返された。
ナオトさんはずっと、一対一の関係を望んでいたので、この反応は当然のことだ。

「でもさ、何十人も応募があった中から選ばれたっていう栄誉は与えられるよ♪」
さらに反応を見てみたくてこんなことも言ってみた。

「栄誉なんて要らないよ。栄誉だけあって結局他の男ともするんだったら初めから『その他大勢』の方がいいよ」
「う!」

 

ナオトさんの言う通りだ。
新しいご主人様になっても、葉月が他の男ともやりたい放題って言うんじゃ、
新ご主人様としての立場がない。
端からも「なにやってんだよ、ナオト!」って思われること間違いなし。
ナオトさんにそんな恥をかかせるわけにはいかない。

「だからいいんだよ。俺はその他大勢でいい。その代わり他にも愛人を作るから」
ナオトさんは強い口調で葉月に決意を語った。
その決意はそこまで自分を押し殺しても葉月と付き合いたいっていう
ナオトさんの心意気だった。

 

その決意を聞いて、葉月も根性決めた。
「わかったよ、ナオトさん」
「なに?」
「葉月はナオトさんを選びます。そしてもう誰ともエッチしない」
「ええっ???」

ナオトさんはとっても驚いていた。
「そそそ、それは、ずっと聞きたかった言葉だけど...」
「うん」

「でもそう言っておいてホントはするんでしょ?」
「しないよ。葉月はしないと言ったらホントにしない」
「いいの?本当にそれで」
「いい。もう決めた」

そう言いながら葉月は心の中でじん太さんに「ごめんなさい」って言っていた。
呼んでもらっても、もう行けない。
今までの何回かの楽しかった名古屋での様子が頭に浮かんだ。
もう名古屋に行くことはできないんだな...そう思うと涙が出るほど悲しい気持ちだったけど、
でもじん太さんはきっと、葉月のこの決断を喜んでくれるはずだとも思った。

心の中の半分でじん太さんのことを思いながら、
葉月はこの気持ちをナオトさんに悟られないようにしなくっちゃって、
わざと元気な態度を見せていた。


「でも、いろんな人とやってみたいんでしょ?」
「したいけど、でもそれはもういい」
「女としての残りの数年間、後悔しないようにいろいろやってみたいって言ってたじゃない」
「ナオトさんにしてもらう。葉月はそれでいい」
「う〜〜〜〜〜ん、それって凄く嬉しいけど...いいのかなぁ」

 

「じゃ、葉月の正式なパートナーってことでよろしくお願いします」
「ちょ、ちょ、ちょっと待って!」

 

何故かここで、ナオトさんが葉月の〆の言葉を遮った。

 

 

 

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