ヤキモチやき

 

 

 

ナオトさんとの時間は本当に楽しくて、気持ちよくて、
葉月はナオトさんのことをどんどん好きになっていった。

「ラブラブ」っていうのがこんなに楽しくてこんなに温かい気持ちになるってこと、
葉月は知らなかった。
ナオトさんは葉月をとっても大事にしてくれたし、
いつもいつも可愛がってくれていた。

 

でも、二人の関係が深くなっていくと、
ナオトさんの葉月に対する気持ちが、
ラブラブではない、もうひとつの形となって表れてくることになったんだ。

 

ナオトさんはヤキモチやき。

 

これは葉月を大切に思ってくれる気持ちの裏返しの感情だった。

「葉月ちゃんが他の男とエッチするところなんて絶対に想像したくない!」

「他の候補者とのお試しなんてもうやめて、僕に決めなよ」

電話や会う度にこういうことを言われるようになってきた。

 

ナオトさんに大事に思われてるからこその言葉だって葉月はよくわかっていたので
そういうことを言われる度に葉月はナオトさんに対して申し訳ない気持ちになっていた。

ナオトさんの主張は普通の感覚だ。
当たり前のことを言っている。

 

「僕が一番葉月ちゃんのために時間を使ってるし、僕が一番葉月ちゃんを気持ちよくしてるでしょ?
これからもずっと葉月ちゃんを大切にする。
なのにどうして僕に決めないの?」

本当にその通りだ。

 

この時、葉月の中では半分くらい「ナオトさんにしようかな」って気持ちはあったんだけど
そう決められない理由がいくつかあったんだ。

一番の理由は他の候補者さんとの二回目以降のお試しプレイを
葉月が約束してしまっていたから。
葉隠さんとは「アセモが治ったら遊んでくださいね」ってことになっていたし、
蔵人さんとは「仕事が一段落したらエッチしてくださいね」って約束になっていた。

「約束してしまったから」って言うよりも
その「二回目のお試し」を葉月自身が望んでいたからかも知れない。

 

葉月はナオトさんとのエッチにはいつもとても満足していた。
ナオトさんはいつもきっちり葉月を気持ちよくしてくれてた。
エッチだけじゃなくてナオトさんのことも大好きだ。

でも、葉月の「いろいろなことへの興味」が
「もっといろんなことしたい」っていう欲を葉月に捨てさせていなかった。

 

葉月はナオトさんに、
自分の女人生なんてあと数年しかないと思っているし、
まだまだいろんなことに興味があって、できるだけ悔いを残したくないと思っているってことや
ナオトさんのことは大好きで、その気持ちは嘘じゃなくて
他の行為への興味はナオトさんへの気持ちとは別物なんだっていうようなこと、
そういうことをまだ迷ってる時期なので今すぐには決められないっていうようなことを
一生懸命話したんだけど、

「葉月ちゃんのその気持ちはよくわかるし、僕だっていろんな女の人とエッチしてみたい」
って言う言葉の後に
「だけど、理屈じゃなくて本能的に嫌なんだ」
って言われて話は平行線。

 

どう考えたって葉月の方がわがままだ。
パートナーを公募したのは葉月の方なんだからずるずる悩んでる葉月が悪い。
それがわかってるから葉月も申し訳ない気持ちになる。
だから歯切れの悪いことを言ってナオトさんをイライラさせることになる。

 

 

情熱的なナオトさんはこういう話をする時もすぐに熱くなる。
語調が強くなって葉月はいつも叱られてるような気分になる。

普通の会話の中で葉月の口から他の男性の名前が出ただけでも機嫌が悪くなるようになってきた。

「他の男の話なんて聞きたくない」

○○さんがこんなこと言ってたよ、って程度の世間話でもナオトさんの機嫌は悪くなる。
葉月のハッキリしない態度が原因といえばそうなんだけど、
だけど、普通の会話をしていてもちょっとのことですぐに機嫌の悪くなるナオトさんに
葉月はすごく気を遣うようになってきてた。

 

そして、辛かったのはこういうことを言われる時だった。

「僕の他にも男はたくさんいるんだろ?」

いないよ、そんなにモテないよ。

 

「僕の知らないところでいろいろエッチしてるんだろ?」

してないよ。葉月はナオトさんに隠し事なんてしないよ。

 

「本命は五月さんなんだろ?」

五月さんはとっくに「アフター」になってんだよ。(とほほ)

 

全然信用されてないんだなって思った。

葉月は惚れっぽいけれどバカ正直なだけが取り柄の女だ。
好きになった人に嘘や隠し事はしない。

リュウさんとお付き合いしている時は
愛人さんのところに行くのも、テクニシャンさんに遊んでもらうのも
必ず事前にリュウさんに言ってから行っていた。
リュウさんにとっては辛い事前報告だったと思うけど
でも何でも言ってくる葉月だからこそ言ってこないことはしていないだろうっていう信頼をもらってた。

まだお付き合いが浅いナオトさんに、いきなり信用してくれって言っても
それは無理だったのかも知れないけど
何もしていないのに頭っから疑ってかかってるみたいなそういうナオトさんの言葉に
葉月はちょっぴり悲しい思いをしていた。
「ちょっぴり」っていうのはね、
今はそう思われても仕方ないけど、時間をかけて信頼してもらうしかないなっていう気持ちがあったから。

 

こういうこと書くと、
ナオトさんって独占欲と猜疑心が強いだけのわがまま男、みたいに思われると思うけど
それは決してそうじゃない。

今までのリュウさんとの経緯や、
どうして愛人さんとお付き合いを始めたのかとか、
当時の裏葉月を見ていなかったナオトさんはそういう流れを知らないわけだし、
今の葉月(パートナーを公募して複数の男性とエッチしてる葉月)だけを見れば
その葉月を目の前にして「他にもいろいろ男はいるんだろ?」って思うのは
まぁ当たり前のことなのかも知れなかった。

それにナオトさんは熱くなって勢いでひどいことを言うことはあったけど
「ごめん、言い過ぎた」
って、すぐに謝ってくれた。

 

頭ではわかってるんだよ。
僕だってまだまだいろんな女の人とエッチしてみたいと思うし、
葉月ちゃんが残りの女人生を有意義に過ごしたいっていう気持ちはよくわかる。

頭では納得してるはずなんだけど、
なかなか大人になりきれなくて時々感情的になっちゃうんだよね、ごめん。

 

ナオトさんのこういうところも好きだった。
嫉妬という当たり前の感情をストレートにぶつけてくる。
本当は嫉妬してるのに平気な態度を装って腹の中に溜め込んじゃったりするよりも
ずっと健全でわかりやすい。

「ナオトさんだけにする!」
って言い切れない葉月が悪い。

 

これ以上ナオトさんを待たせることはできないと思った。
葉月はナオトさんをパートナーに選ぶ、そう決めた。
本当は心の中ではずっと前からそう決めていたのかも知れない。
葉月はナオトさんには嘘はつけないから
ナオトさんを正式なパートナーに選ぶってことは
今後一切他の人とはエッチその他の変態行為をしないってことだ。
(隠れてコソコソするのはありえないってことね)

募集の条件になっている愛人さんのことはどうするかってこともあるけど
とにかくまず先にナオトさんの気持ちにきちんとした返事をしなくちゃならない。

 

ナオトさんへの返事は心の中では決まっていた。
ナオトさんにはそれっぽいことを伝えたりもしてた。

だけど、やっぱりどこかにもやもやがあって
このまま正式にお返事をしちゃっていいんだろうかって躊躇している自分もいた。

 

結婚前の女性が感じるマリッジブルーみたいな気持ちだったのかも知れない。(笑)

 

 

 

 

 

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