共有奴隷

 

 

 

「葉月は五月さんとお付き合いしようと思います」

 

葉月が電話でそう言うと五月さんはとても喜んでくれた。

だけど、葉月の心はそんなに晴れ晴れとしたものじゃなかった。

 

5人の候補者さんとお試しプレイをしてもらって、
葉月はみなさんのことが好きになっていた。
この時点で爺は辞退をしていたわけだけど、
何でも相談に乗ってくれて大きく包み込んでくれるような存在の蔵人さんと、
ラブラブなエッチで何度もイカせてくれたナオトさんと、
オジサマモードで葉月を可愛がってくれる葉隠さん。
本当に葉月は全員のことが好きだった。

お試しプレイの時に「また会いましょうね」ってみなさんに言っていたのは
その場しのぎの言葉じゃなかった。
本当に葉月はみなさんとまた会いたいと思っていたし、またエッチしてもらいたいと思っていた。

だけど、公募という形で、お試しをして選びますと宣言して、お試しプレイが一巡して、
誰かを選ばなければならないんだなって思っていたので
「どうしても誰か1人を選ぶなら」
ってことでは五月さんだったということなんだ。

 

でも実は、五月さんとのお試しプレイの時、
帰り支度をしてアルファインで少し世間話をしている時に
五月さんは葉月にこう言ってたんだった。

「無理に1人に決めなくてもいいんじゃないですか?」

 

そして実は同じことをもっと前から蔵人さんからも言われていた。

「ずっと候補者のままにしておいて、何回でもお試しプレイを繰り返せばいいじゃないですか」

 

最愛のパートナーが欲しいと願ってる葉月に、
二人がどうしてそういうことを言うのか当時の葉月にはわからなかった。
でも、お試しプレイを続けていくうちに、だんだんとわかってきたんだ。
自分のことが。

早くから「保護者」だった五月さんと蔵人さんには葉月以上に葉月のことが見えていたんだと思う。
葉月があるところまで行った時にぶちあたる壁のことを。

 

最愛のパートナーはもちろん欲しい。
葉月は自分を理解してくれて自分を気持ちよくしてくれる人とお付き合いしようと決めてた。
でも、気持ちよくなるのっていろいろな種類があって、
人によってそのやり方や得意分野は違ってて、
その違いって、優劣とか上下とかじゃない。

好みや相性っていうものもあるとは思うけど
葉月は自分が意外と順応性があって、何でも楽しめるということを知ってしまった。
っていうか、これからいろんなことで楽しめるかも知れないっていう可能性を感じてしまったんだ。
そのコツみたいなものがわかってしまった。

たった1人の人を「この人!」と決めて愛することも素晴らしいことだと思うけど
葉月はそれをしていていつも淋しい思いをしていた。
会えないことを我慢して、やりたいことを我慢して、辛い時期を過ごしていたけれど
もっと視野を広くすれば楽しいことはたくさんあったんじゃないのか?

パートナー募集の条件に、「愛人さんとのデートを認めてくれる人」って書いたのも
本当はそういうことに自分でも気付いていたからで、
葉月が欲しいのは本当は「たった1人のパートナー」じゃないのかも知れないって
そんな風に考えたりもしていた。

 

五月さんは葉月の職場の近くまで来てくれて、そんな葉月の話を聞いてくれた。

「みなさんの共有奴隷ってことではダメですかねぇ?」
なんてことも葉月は言ったりしてたな。

候補者のみなさんに連絡を取ってもらってですね、
「今日はここまで葉月の調教が進みましたから次の方、続きをお願いします」とか、
「こういうことしたら葉月はこういう反応をしました。ご参考までに」とか、
連絡BBSなんかを作っちゃって、みなさんで葉月をおもちゃにして頂ければ....
なんて、葉月は半分本気で五月さんに話してた。

でね、年に一回か二回、全員で集まって合同調教パーティーをやるんです。
どう?どう?ワクワクするでしょ?

五月さんは泣き笑いのような困った顔してたけど。(笑)

 

とにかく、五月さんに内定を出したものの、葉月は迷っていた。
五月さんに物足りなさを感じていたわけじゃない。
他の人とお別れしたくなかったっていうのが一番の迷いの原因だと思う。

それから......
たぶん、この時点で五月さんが「よし、わかった。葉月はオレが面倒見る!」って
勢いよく言ってくれてたら、
葉月の迷いも消えてたんじゃないかと思う。

ちょうどこのくらいの時期から以前は感じていた五月さんの熱意が
少し弱々になってきてるような気がしてた。

内定を伝えても「それじゃ早速Bパターンを」っていう話もないし、
どーも歯切れが悪い。

 

 

「じゃじゃーん!この人が新しいパートナーでぇ〜す♪」
って、早く発表したい欲はあった。
だけど、葉月はもう少しじっくり考えたいと思った。

だから、パートナー候補のみなさんには、こんなようなお知らせを出したんだ。

 

(前略)
なので、もしみなさんがご納得くだされば、の話なんですけど、
もうしばらく選考期間を頂けないかと思っています。
もちろん、その間は葉月を自由に誘って頂いてかまいませんし、
葉月の方から「遊んでよ〜♪」ってお誘いすることがあるかも知れません。
「お試しプレイ二巡目」なんていう堅苦しいものじゃなくて、
葉月は自由にみなさんとお目にかかりたいと思っています。

(略)

しばらくの間、みなさんの共有奴隷というか共有セフレというか、
そんな感じで遊んでいただければな〜って思っています。
しばらくの間って...いつまでなんだろ?
すみません、決めてないけど秋とか年内とか、そのくらいの感じで葉月は考えています。

(略)

それからもうひとつ問題があるんです。
毎日のこの暑さで全身アセモ状態なんです。
毎年のことなんですけど、これ、悩みの種なんです。
美しくないです。
スベスベお肌をお求めでしたら涼しくなってから誘ってください。

勝手なことばかり書いて申し訳ないです。
でも正直な気持ちをお伝えしているつもりです。
ご意見などありましたらいくらでも伺いますので、メールでも電話でもください。

もし、みなさんが「しょうがないなー、ここまで足を突っ込んじゃったんだからもうちょっと付き合ってやるか!」
と思ってくださるのでしたら
このような方向でしばらくニュートラルな状態でやらせて頂こうと思います。

 

 

みなさんに会う度に好きになるし、エッチすればするほど好きになることもわかっていた。
このメールをみなさんにお送りすることは葉月は自分の首を絞めることになるんだってこともよくわかっていた。
でも、行き詰まってしまった葉月には
こうすることしか方法がみつからなかったんだ。

 

このお知らせメールを出してから、いち早く返信をくれたのがナオトさんだった。

アセモなんて全然気にしないよ。
僕が治してあげる。
気持ちいいことしよ〜♪

 

気持ちいいこと、したかった。
でもこんな全身アセモ状態じゃ、誰も遊んでくれないと思ってた。

なんだかとっても嬉しくて、葉月はナオトさんと会うことにしたんだ。

 

 

 

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