東京のテクニシャン1(前編)

(このページは2004年11月に公開したものです)

 

 

 

前のページで葉月がじん太さんに恋をしていることは書いたけど
その一方で葉月はある「もやもや」を感じていた。

 

愛人とは言ってもじん太さんとは数ヶ月に一度しか逢えない。
リュウさんは忙しくて全然遊んでくれない。

気持ち的には「愛される喜び」は充分感じていたけれど
実際にエッチする機会は葉月にはほとんどなかった。

だから何ヶ月かに一度じん太さんに呼んでもらうその時だけを葉月は心待ちにするようになる。

 

数ヶ月先の約束を時間をかけて楽しみにするのもいいけれど
実際問題、

あ〜、エッチしたい!

って、急に思うことってある。

 

じん太さんには葉月の他にも複数の愛人さんがいる。
そのことに不満もないしヤキモチを焼くわけではないけれど
「羨ましいな」とは思っていた。
じん太さんはいろんなことを楽しんでる。

葉月はもっと楽しいことしたかったし、気持ちいいことしたかった。
リアルな行為に飢えてた。

 

 

葉月も「ご近所愛人」が欲しいな...。(ぼそ)

 

そんな贅沢な愚痴をちょっと漏らした。

 

その愚痴にはいろいろな思いがあったんだ。
ひとつにはやっぱり近くにいる人の方が何かと便利だってこと。
時間にしてもお金にしても、遠いより近い方がいい。
逢いたいと思った時にすぐに逢える人。
したい時にすぐにエッチできる人。

「今日、これからどう?」
「いいよ、それじゃ30分後に迎えに行くよ♪」
みたいなことって『名古屋〜東京』じゃできない。

 

それから、葉月の気持ちがどんどんじん太さんに傾いていくのが怖かったこと。
怖いというか、悔しいというか...。(笑)
じん太さんにとって「愛人の中の1人」である葉月が
じん太さんのことを「たった1人の性の対象」と思うのは対等じゃないと思ったし
自分の気持ちが重くなってじん太さんの負担になるのも嫌だった。

ここ1〜2年のリュウさんの超多忙で
葉月が過ごしてきたようなミジメで卑屈な時間はもうこりごりだと思っていたし
だからと言ってじん太さんに「ご主人様」を求めるのも違うことはわかっていた。

楽しいはずのことを真面目に深刻に考えすぎるのが葉月の悪い癖だ。

 

うまく言えないんだけど、
自分をもっとカラッとした状態にしておきたかった。
ジメジメうじうじしてる自分じゃなくて
つまらないことで悩んだり落ち込んだりするんじゃなくて
いろんなことを重く考えすぎないで
楽しいことは楽しいと素直に感じられるような状態。


簡単に言っちゃうと葉月はもっとエッチしたかったんだと思う。
もっともっと気持ちいいことしたかった。

この葉月の「ヤリマン女的思考」は、非難もされるかも知れないけど
そもそもご主人様を求めたことも、裏葉月をやってることも、
葉月の根底にこのことがあるのであって
葉月の本音の部分なのであ〜る。

 

ご主人様がいて、愛人までいるのに
実際にエッチしてる回数を数えたら普通の人よりずっと少ないじゃん。
まぁこれが「エロなし葉月ちゃん」などと呼ばれる原因でもあるんだけど、
そのことはね、やっぱりちょっとつまらないと思っていた。

でもだからと言って本気で「ご近所愛人」を探すということでもないし、
ただなんとなく思っていたというだけのことだった。

 

そんな愚痴を漏らしてから少し経った葉月の誕生日に
じん太さんからメールが届いた。

葉月さんへの誕生日プレゼントだと思ってくれていいです。
友人のTさんを紹介します。

 

え?

 

なんと!!!
じん太さんが「ご近所愛人」を紹介してくれた。(嬉)


東京在住だから逢おうと思えばスグ逢える(早い!)
セックスが上手(うまい!)
おまんこでイキやすい(やすい!)
吉野家のように三拍子揃っている男性です。

 

よ、吉野家〜〜〜?( ̄◇ ̄;)

 

 

などと一瞬は思ったけど、葉月にはじん太さんの気持ちがよくわかっていた。
ここで
「葉月さんの女としての悩みはよくわかる。ボクも悩んだ末に...」
なんて深刻な文面のメールが来たら葉月は引いちゃうってことを
さすが愛人、よくわかってる。

Tさんはじん太さんとはもう長いお付き合いの大切なお友達とのこと。
葉月のことを「どーでもいい使い捨て女」と思っていたら
そんな大切なお友達を紹介してくれたりしないだろう。

Tさんは裏葉月をちょっとだけ見てくれたことがあるらしく
じん太さんと会って話をした時に葉月の話が出て
葉月に興味を持ってくださったということだった。

 

彼はテクニシャンですからね〜♪

 

ててて、てくにしゃん?

葉月にしてみればじん太さんだって相当なテクニシャンだと思ってるんですけど
そのじん太さんがテクニシャンと豪語する人って一体...。
そんな方が葉月なんかに興味を持ってくださってるなんて〜〜〜!

葉月はドキドキした。

 

その後、Tさんからはご丁寧なご挨拶メールを頂いた。
メールからは吉野家の軽いノリは全然ない、きちんとした方だという印象を受けた。

事務的な口調でサラッと簡潔に用件を伝えてくる。
「頭のいい人だな」って葉月は思った。

そして、その事務的なメールの中に
「葉月さんをねっとりといやらしく感じさせてあげたいです」
なんて表現がいきなり盛り込まれてて葉月はドキッとする。

ふにゃ〜〜。
こりゃ、じん太さんが推薦してくれるのもわかるわ。
葉月がペースに乗せられておろおろするタイプの方だわ〜〜〜。

 

葉月はTさんに会ってみたいと思った。
でもその前にリュウさんに許可をもらってからじゃないと行けないと思った。

Tさんは「まず会ってみましょう」と言ってくれていたので
会ってから報告しようかとも思ったけど
お互いに子供じゃないんだし、
会うだけのつもりでも流れでエッチしちゃうこともあるだろう。
って言うか、そもそも目的がソレなんだから当然そういうことになるだろう。

葉月はリュウさんに隠れて何かをコソコソやるのだけは嫌だったので
「緊急!」ということでリュウさんを呼び出し、
ことの経緯を話してお許しをもらうことにした。

駆け引きは一切しなかった。

葉月はおまんこしたいです。
気持ちよくしてもらいたいんです〜〜!

と、リュウさんに思いを熱く語って強引に(笑)許してもらった。

 

 

Tさんと会う日時も決めて、その日を待つだけになった。
ここまで勢いで話が進んできたけど
約束の日が近づくに連れて葉月はだんだん不安になってきた。

じん太さんからは
「変な先入観を与えてはいけないので」という理由で
Tさんのことはほとんど何も知らされていなかった。

Tさんとはメールのやりとりをしていたけれど
葉月にはまだTさんのことはよくわかっていなかった。

 

考えてみれば、葉月はこういう会い方は初めてだった。
ネットで知り合って会うとか、エッチするとかってことは初めてじゃないし
ご主人様も含めてほとんどがそうなんだけど
まず相手を好きになって、
「この人とエッチしたい!」って思った人と会ってきたのであって
先に「エッチ前提」で紹介されたっていうのは初めてのことなのだ。

Tさんだって葉月のことはあまりよく知らないはずだ。
会ってみて気に入ってもらえるかどうかもわからない。

 

葉月の星の数ほどあるコンプレックスと、「どうせアタシなんか」思考が
ムクムクと大きくなってきた。
裏葉月にはよく撮れてる画像しか載せてないし、いいことしか書いてない。
Tさんはそれを見てるだけなんだから
もしかしたら葉月のことを「すっげ〜いい女」と思い込んでるかも知れない!
そうだそうだ!そうに違いない!

だったら絶対にガッカリさせることになる〜〜〜!

 

Tさんがガッカリするということは
紹介してくれたじん太さんのお顔に泥を塗ることになる。
そのことはかなり確実な線かも。

葉月は憂鬱になってきた。

 

その憂鬱は日増しに強くなってきて
葉月はその思いをじん太さんにダラダラとぶつけてしまった。
そのメールを要約すると
「どうせ葉月なんか、どうせ葉月なんか、どうせ葉月なんか、どうせ葉月なんか」
こういう内容だ。(笑)

 

そのメールに対するじん太さんからの返信にはこんなことが書かれていた。

「俺はどうせダメな男だから…」なんて言ってる男性に
魅力を感じる女性は居ないと思いますが、いかがでしょうか。

 

う...!

 

 

確かにそうだと思った。
葉月は「俺はどうせ...」なんて言ってる男に魅力は感じない。

そっかー、男も女も同じなんだな。
コンプレックスはコンプレックスとして消えるものではないけれど
気取ったって誤魔化したって裸になれば葉月は葉月。
それはもうどうしようもないことだ。

そこで前に進むのをやめてしまったらすべてがそこで終わり。
葉月はまだ終わりたくないと思った。


じん太さんが葉月を「この女はちょっとね〜〜(不安)」って思ってたら紹介しないだろう。
「じん太はこんなへんてこな女を愛人にしてるのか!」と
思われると思ったら紹介しないはずだ。
相性というものもあるからTさんが葉月をどう思うかはわからないけれど、
葉月はじん太さんが紹介してくれたということには自信を持とうと思った。
そのことには胸張って行かなければじん太さんに申し訳ない。

それを葉月は何度も何度も自分に言い聞かせた。

嫌々行かされるんじゃない。
葉月が望んでいたことを提供してもらったんだ。
うじうじしてるのは変だよ。
「はい葉月ちゃん、笑って、笑って!」
って、そんな気分だった。

 

じん太さんの次の言葉にも葉月は勇気づけられた。

してくれるって向こうが言ってるんだから
何も考えないでやってもらっちゃえばいいんです。

 

ポロッ!
(目からウロコが落ちる音)

 

あ、そーか。
そうだよね。

今回のことは葉月が無理矢理お願いしてるとかいうことじゃなくて
Tさんの方から誘ってくれたことだ。
Tさんががっかりしようがつまんなかろうが葉月のせいじゃない。(そそそ、そーか?)

そーだそーだ、わはははは!

 

 

って、ホントはこんな大笑いするノリじゃなかったんだけどね。
それでも葉月は自分の殻を自分でぶち破るために
自信のない自分の背中を自分で押しながら
Tさんとお目にかかることになったのだった。

 

テクニシャン...。

一体どんなことをされちゃうんだろう...?

 

 

期待と不安がごちゃ混ぜになって
葉月はドキをむねむねさせながらTさんの元へ向かったのだった。

 

 

 

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