さよなら、プレイボーイ 6

 

 

 

啓太さんからもらったメールには、

「俺が何をしたいのかというと
いろんな状況でのいろんな話を聞きたい…ということに尽きると思った。」

という一文がありました。
葉月が「啓太さんが何を考えてるのかわからない。あなたは一体どうしたいの?」って
前に送ったメールに何度も書いた質問への答えです。

 

「いろんな状況でのいろんな話」、
そうだよ、葉月も啓太さんとのおしゃべりはとても楽しかったけど、
葉月が好きだったのはファミレスでのおしゃべりだけじゃない。

 

ホテルに入ってイチャイチャしながらしてた話とか、

エッチの最中に啓太さんにガンガン突かれながら、アヘアヘしながらしてた話とか、

エッチの後ヘロヘロになってベッドで二人でゴロンと横になりながらしてた話とか、

ホテルに行った帰りの車の中でホンワカした気持ちでしゃべることとか、

葉月にとっては全部全部大切な会話だったよ。

 

女から本音を引き出すには、エッチでヘロヘロにさせるのが一番手っ取り早い方法です。
葉月が、エッチをしていない男性に比べたら啓太さんには物凄く心を許せていたのは、
間違いなく肉体関係があったからです。

啓太さんにはそういうところ、
つまり「体を重ねることで心がぐっと近くなる」という感覚はないんだ…。
エッチをしなくなっても、今まで通りのおしゃべりはできると思ってるんだ。

ここが、決定的な違いだと思いました。

 

葉月は、エッチするからこそできる話があると思っているし、
だからこそ深いしおもしろいと思っています。

普段から自然体である啓太さんは、エッチをする・しないの変化はあまり感じていなくて、
むしろ「SEXが絡むと面倒くさい」とまで言っています。

 

最初から何もなかったのであれば、
おしゃべりだけの関係は続けていられたかもしれません。
でも、今までしていたものをしなくなるというのは、
何もしていなかった時に戻るという単純なものではありません。
(少なくとも葉月にとっては)

何年か経って、葉月が本当にババアになって、

「もうそろそろエッチはいいよね?」

ってムードが二人の間に自然に出てきたってことなら納得できます。

だけど葉月はまだまだ女でいたい。
今の段階で啓太さんと縁側の茶飲み友達になるのなんて嫌だと思いました。

 

葉月は年上女です。
やんちゃで何もわかってない年下くんが、他の女と遊ぼうがその女の面倒を見させようが、
「まったく、しょーがないわね」で我慢することはできます。

だけど、性の対象に見られなくなったら、そこですべてがおしまいです。
啓太さんの「肌色発言」によれば、今までのエッチだって、
性の対象として見られていたのかどうかもわかりません。

啓太さんにとって葉月とのエッチが楽しいものだったのであれば、
「これからは山盛りポテトの関係に」なんて言わないはずです。

 

「エッチしなくてもおしゃべりだけしてれば楽しい」と言われて、
嬉しいのは10年先、いや老人ホームに入ってからだ、

バカヤロー!

 

 

完全にフラれたと思いました。
「葉月とはもうエッチしない」という啓太さんの意思は尊重しなくちゃいけないと思いました。

ここで縋るように「そんなこと言わないでエッチしようよぉ」って、言えば
「そうだよね」ってことになったかもしれません。
啓太さんからは「もう金輪際葉月とは一切エッチしない!」っていう
強力な拒絶をされたとも思っていません。

でも、ここで縋っちゃいけないと思いました。
理由はハッキリわからないけれど、
ここは毅然と受け止めるところだ、っていう気がしました。

 

「葉月はフラれた感満載だよ」

「いや、葉月さんのことは素敵な女性だと思ってるよ、マジで」

もう言うな、それ以上言ってくれるな(とほほ)。

 

ファミレスを出て駐車場で、お別れする時にいつもみたいにキスはありませんでした。

「葉月さん、また飲みに行こうね!」

って啓太さんが葉月に言いました。

 

飲みかよ!
「またね」じゃなくて「飲みに行こうね」ってわざわざ言ってきたところが、
「エッチじゃなくて」ってところを強調されてると思いました。
あぁホントに終わりなんだなって思いました。

 

葉月はそれには答えずに

「おやすみ」

って言って自分の車に乗り込みました。

 

エンジンをかけて真っ暗な車内で、発進できずにしばらくそのままボーッとしていました。

啓太さんの車が駐車場を出ていくのが見えて、淋しさが込み上げてきました。
いつもなら一緒に出て、途中まで並走か追走する場面です。

 

あーあ、終わっちゃったのかぁ。
すっごく楽しかったのにな。
本当に終わっちゃったんだ…。

未練がましいことを最後に一言だけ言っちゃうと、本当に好きだったんだよなぁ。
「年下男なんて圏外!」って言い放っていた葉月が、
そのルールを完全に消滅させるほど、好きになった人でした。

 

でも、どう考えても求めてるものが違いすぎます。
それに、今回の一連のことは「ちょっとした感情の行き違い」などではなく、
根本的に何かが違うっていう気がしました。

その「違い」に気付いてしまったからには、自分の気持ちを元通りに修復はできません。
目先の現状維持をするよりも、
葉月には大事にしなければいけないことがあると思いました。

 

感情的になって破綻するわけではありません。
お互いにちゃんと相手に向き合って話をした結果がこうだったんだから仕方ありません。

 

でも、偉かったよね、アタシ。
年上女としてちゃんと毅然と行動できたよね。

 

しばらくボーッといろんなことを考えて、

「さ、元気出して次行こ、次!」

って思えるようになってから、車のアクセルを踏みました。

 

終わったことを振り返ってる時間は、アタシにはないんだから!

 

 

 

 

 

 

 

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