さよなら、プレイボーイ 5

 

 

 

啓太さんの言っていることが本当だとすると、
話は逆戻りで葉月は啓太さんとお別れする問題でもないんじゃないの?
っていう気持ちになってきました。

 

実際、ファミレスでこうしておしゃべりをしている感じ、二人の雰囲気は、
とても別れ話をしているようには思えません。

話題はちょっと深刻だったけど、すごく楽しく時間は過ぎていきました。

 

ここで時間切れになっていれば、おそらく

「それじゃこれからも今まで通りよろしくね」

っていうことで話が終わったんじゃないかと思います。

 

だけど、時間はまだまだ残されていたんですね。
一旦「お別れしなくてもいいんじゃないの?」って戻りかけた葉月の気持ちは、
ここから先の啓太さんの話でまた変わることになります。

 

啓太さんは、

「メールにも書いたんだけど、俺って性欲があんまりない男なのよ」

っていう話を始めました。

 

えええっ?
性欲がないって言ったって、葉月と何度もエッチしてるじゃん。

 

「できないってことではないの。
その場になればちゃんと勃つし、射精もできるんだけど、
セックス目的で何かをするってほど、したいわけでもないんだよね」

 

そそそ、そうなのか!

 

「乱交パーティーみたいなところに行くとするじゃない?
そういう場で勃たなくて役に立たない男って結構いるんだけど、俺はできるの。
なんていうか、
そこに『肌色』があれば、体はちゃんと反応してエッチもできるんだよね」

「は、肌色…」

 

確かに、蔵人さんとの3Pの時も、
啓太さんは全然萎縮してなくてきっちりエッチしてくれました。

でもあれって、葉月に反応したんじゃなくて「肌色」に反応してただけだったのか…。

 

なんかショック…。
それってさ、今までエッチしてきた女に対して
かなり失礼な発言じゃない?

 

 

「葉月さんは俺に、『どうしたいの?何がしたいの?』ってことをメールで聞いてきたけど、
俺のしたいことってこういうことだと思うんだよね」

「こういうこと」ってところで、啓太さんは
ファミレスのテーブルの上の半分くらい食べかけの「山盛りポテト」を指さしました。

「こういうことって、山盛りポテト?」

「そう、葉月さんとこうやって
山盛りポテトとドリンクバーで夜中までしゃべってたりすること」

「そりゃぁアタシだってこういうのは楽しいけどさ」

 

「でね。
こういう関係にセックスとかが絡むと面倒くさくなるんだなぁということが
今回のことでよくわかった。
だから、セックス目的のセフレな関係はそういう人と別のところでして、
葉月さんとはこれからもこういう関係は続けていきたいなぁと思ってるわけよ」

「もう葉月とエッチはしないってこと?」

「いや、もう絶対にしないってことじゃないけど、
葉月さんとはこれからも何らかの形で関わっていきたいなと思うから、
こういう方がいいのかなぁと思って」

「ふーん…。」

 

 

心の中で何かがガラガラガラッと崩れる音がしました。
「ミキちゃんのフォローをする」どころの衝撃ではない、壊滅的な崩壊でした。

 

啓太さんが言ってることはわかります。
啓太さんの「したいこと」は、
いろいろな人といろんな話をして刺激を受けていくということで、
元々性欲のあまりない啓太さんはそこにセックスを介入させたくないと言っています。
葉月とは、これからも山盛りポテトの関係を続けたいとも言ってくれているわけです。

これは、「葉月の人間性」を認めてもらっているということで、
本当は喜ぶべきところなのかもしれません。

だけど葉月は、
自分とのエッチがこんなに簡単に切り捨てられる程度のものだったということが、
とてもとてもショックでした。

 

いや、求めているものとかしたいこととかって、人それぞれ違うものだから、
啓太さんを責める気持ちはありませんでした。
啓太さんは啓太さんなりに「自分がしたいこと」を正直に葉月に話してくれたんですから。

 

 

でも啓太さんは葉月のことを全然わかってないと思いました。

葉月は男の人から求められることで女としての自信を捻出してきた女です。
男の人にエッチしてもらって、射精してもらって、
気持ちよくなってもらうことで女としての自分を自認できていたし、
それができたから星の数ほどあるコンプレックスとも闘ってこられたんだと思っています。

今の葉月に魅力というものがあるのなら、
それは蔵人さんや啓太さんが葉月に
「女としての自信」を与えてくれていたからこそのものだと思っています。

特に、10歳も年下の啓太さんに性の対象と見られていること、
「体が馴染んできた」と言ってもらったことや、
葉月のおまんこを使いながら「うー、気持ちいい〜♪」って言ってもらったことで、
どれだけ嬉しかったか、それがどれだけ葉月の自信になってたか。

 

「若い男のエキスを吸い取る」なんて表現を、葉月は冗談っぽく使っていたけれど、
全然冗談なんかじゃありませんでした。
冗談どころか、啓太さんとの関係が葉月に元気を与えてくれていたことは間違いのない事実です。

 

啓太さんのことは大好きです。
いろんな経験があるところ、勉強家でたくさんの知識を持ってるところ、考え方が個性的なところ、
葉月の言ったことに対して真っすぐな意見をくれるところ、
そして葉月がつまらないことでくよくよしていても笑い飛ばしてくれるところ。

ファミレスで何時間話していても、
おしゃべりが楽しくて時間を持て余すことなんてなかったけれど、
葉月はその間ずっと、啓太さんを「男」として見ていました。

 

仕事の話をしている時も、友達の話をしている時も、
難しい心理学の話を聞かせてくれてる時も、仕事の失敗話で大笑いしてる時も、
葉月はいつも「この人は私を抱いてくれる人だ」って頭の隅っこで意識しながらしゃべっていました。
啓太さんの口元や、腕や、指先を見ながら
ベッドの上での啓太さんとのギャップを楽しんでもいました。

 

「今後はエッチはしない。おしゃべりだけ」と宣言されてしまったら、
葉月にとってのおしゃべりタイムの楽しみは半減、それ以下になるでしょう。

 

「それじゃ楽しくないじゃん…」

 

葉月は半分残っている山盛りポテトをみつめながら、ボソッと呟きました。

 

 

 

 

 

 

 

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