さよなら、プレイボーイ 4

 

 

 

待ち合わせのファミレスには啓太さんの方が少し早く到着していました。

いつもと同じ、いつもの光景。
深刻な話とか、別れ話をするような雰囲気でもありません。

「お待たせしましたー!」

って、葉月はいつものように啓太さんの前に座りました。

そしていつものようにどうでもいいようなおしゃべり。
いつも通りで全然違和感ありません。

しばらくはそんな時間が続きました。

 

その後、お互いのメールの話になりました。

啓太さんはメールにも書いていたように、
葉月が送ったメールに対して腹は立たなかったし、
とても感謝しているというようなことをまず言ってくれました。

 

「生まれて初めて人からの意見を素直に聞こうと思ったよ」

っていうようなことも、啓太さんは言ってました。

 

「へー。葉月の言葉って啓太さんにそんなに影響力あるんだー。」

「そりゃぁあるよ」

 

意外でした。
でも、考えてみれば啓太さんは、葉月が年上だったということもあると思うけれど、
葉月のことをいつも認めてくれていました。

一番最初の時だって、
「葉月さん以外に聞いてくれる人が思い浮かばなかった」って言ってたし、
一度だけ、葉月の仕事絡みで一緒に仕事した時も、
葉月の仕事ぶりをとても評価してくれてたりしました。

 

葉月が捨て身の覚悟で書いたメールは、ちゃんと啓太さんの心に届いたみたいです。
「よかった」って思いました。
「啓太さんとのお別れ」と引き換えのつもりで書いたメールです。
何も伝わらなかったら別れ損ってものです。(ちょっと違うか?笑)

 

それから、今までメールのやりとりでしか話せていなかったいろいろなことを話しました。

葉月は、とにかくやっぱり一番ショックだったのは、
ミキちゃんのフォローを葉月にやらせようとしたことだっていうことを
啓太さんに言いました。

 

「あぁあれねー、やっぱりアレはよくなかったよね…」

って、啓太さんも葉月の様子があのメールからおかしくなったのは
わかっているようでした。

 

「俺としてはね、フォローしてとか二人でなんとかしてとか、
そういう気持ちではなかったんだよね。
ただ近々会う機会があるって話だったので、
その時に『無視しないであげてね』ってくらいのつもりだったんだよね」

「へっ?そうなの?」

 

ガチガチだった肩の力が抜けてくような感じがしました。
メールの文面ではそういう風には受け取れなかったけどなぁ。

 

「葉月は、ミキちゃんが葉月のことを気にしていて、メソメソしたり悩んだりしてるから
葉月にフォローしてあげて、っていう意味かと思ってたよ。
それは違うだろーと。」

「彼女の話をするとね、彼女は俺と物凄く似ていて、何も考えてない人なのね。
彼女は葉月さんに遠慮するどころか、どっちかっていうと
『寝取り・寝取られ萌え〜♪』みたいなところがあって、
葉月さんのことを言ってからは逆に興奮してるみたいよ」

「ね、寝取り・寝取られ萌えぇ〜???
えええーーーっ?そうなの???」

「葉月さんのことを気にして悩んでるとかいうことはまったくないと思う。
だからフォローしてもらう必要もないんだよね。」

「それじゃ葉月はとんでもない勘違いをしていたよ。
ミキちゃんが辛い思いをして悩んでるんだろうなぁってことをずっと心配してたけど、
それも葉月の暴走だったっていうことなのね?」

 

複雑でした。

ミキちゃんが葉月のことをまったく気にしてないっていうところは
悲しいというか、かなりショックなことだったけど、
葉月が勝手にミキちゃんは葉月のことを気にしてると決めつけて、
その後の啓太さんのメールを読み違えてたってことは恥ずかしいと思いました。

何も気にしないってことがあるかなぁ?

でも啓太さんは「ミキちゃんは自分と似てる」と言っています。
啓太さんは、そういうことを何も考えないでいられる人だから、
蔵人さんという存在がいる葉月と何の偏見も遠慮もなく真っすぐに向き合って付き合ってくれてた人です。
その啓太さんとミキちゃんが「似ている」ということなのであれば、
「そういうこともあるのかも?」って思いました。

逆の立場(葉月が人の恋人を好きになる場合)だったら
葉月はメチャメチャ気にしてしまう性格なので、
ミキちゃんもそうなのかと思い込んでました。

 

ってことは。
ってことはですよ?

葉月が啓太さんとのお別れを決意した
「ミキちゃんのフォローを葉月にさせようとしている」っていうことは、
そもそも葉月の勘違いだったってこと?

傷ついても悩んでもいないミキちゃんのフォローなんて、
そもそも必要でもないし需要もなかったってこと?

 

ミキちゃんは葉月のことを気にしてないのかぁ。

そう言えば、こっそり覗いたミキちゃんのブログには、
啓太さんとのやりとりのことが楽しそうに書かれてたもんなぁ。
葉月も見るかもしれないブログに、気にしていたらあんなことは書けないよなぁ…。

 

葉月の頭の中で何かがぐらぐらしました。

確定していることが覆されるような…。

今まで寄り掛かっていた柱が倒れようとしているような…。

 

葉月は、自分のことよりミキちゃんを心配していたこととか、
いろいろ気を揉んでいたこととか、
お別れ覚悟で啓太さんに長文メールを書いたこととか、
すべてのことが無意味に思えてきて、
キツネに摘まれたような気持ちになっていました。

 

 

 

 

 

 

 

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