会話

 

 

 

 

 

週が明けて、暑い日が続いていた。

週明けに蔵人さんからメールが届いていたけれど、
そのメールの内容がどうにも納得できなかったので、
葉月はまたモヤモヤし始めた。

 

お茶しようよ、お茶!
暑いし。

って、衝動的に啓太さんにメールする。

 

いいねぇ、
でもお茶で済まないでしょ。
エアコン効いたホテルでしょ?

うーん…、エッチするのもいいんだけど、それよりも啓太さんと会って話したいんだよね。

 

明日でどう?
毛、剃っておくから。

お茶でしょ?

あ?
あはははは、そうだった、お茶だった。
まぁお茶でも一応剃っていくのが礼儀かと。(^_^;)


啓太さんの声

ということで、啓太さんとお茶することに決定。
家が近いからこういうところは便利だ。
翌日、葉月は一旦家に帰ってから夜9時の待ち合わせでファミレスに向かった。

啓太さんとはメールでいろいろやりとりして、
その中で葉月はちょっと卑屈なことも言っちゃってた(ような気もする)ので、
会ってちゃんと話をしたいと思っていた。
蔵人さんからもらったメールのことも、啓太さんに聞いて欲しかった。

 

こういうことは一人で悶々と考えてるとロクなことがない。
人と会わなくちゃダメなんだってことは、啓太さんから教えてもらったことだ。

 

ファミレスには葉月の方が先に着いて、少し待ってると啓太さんが登場した。

 

「ふぅ〜、暑いね」

当然のように葉月の前の席に座る啓太さん。
そんなことがなんだか嬉しい。

 

「で、何?葉月さん、チクッとしてるんだって?(笑)」


啓太さんの声

「そーだよ。この感覚、自分でもビックリしちゃってるよ。
アタシさぁ、自分で思ってたよりもずっと啓太さんに惚れちゃってるみたいよ」

「ふふ、そうなんだー♪」

「なんだかカッコ悪いなーって自分のこと思うんだよね。
サラッと『行ってらっしゃい』って言えない自分がね」

「いや、俺もさ、葉月さんって思ったよりも女の子なんだなーって思ったよ」

「アタシ、いつも女の子だよ。いつだって恋してるからさ。
恋する女はいつでも女の子なのよ」

「そうだね」

「だけどアタシね、今回チクッていう経験をさせてもらってよかったと思ってるんだよ。
自分にこういう面があるんだってことがわかったから。
このチクッをうまく楽しめるようになれたらいいなって思うよ」

 

こういう話を、気取らないで飾らないで素直にできたところが、
自分としては凄くよかったと思ってる。
啓太さんも、葉月に気を遣ってその場しのぎのことを言ったり、
無理に安心させたりしてなかった。
上辺だけの言葉より、相手から目を逸らさない、この時のお互いの姿勢の方がよほど安心できる。

 

「蔵人さんは何て言ってたの?」

「あー、蔵人さんからメール来たんだけどね。蔵人さんったら全然わかってなかったよ。
葉月が
『啓太さんが他の人とデートするって言ってて、モヤモヤしちゃってます。
どうしたらスカッとするでしょうか』
ってメールしたら、
『一番の特効薬は、啓太さんに遊んでもらうことです。
啓太さんを楽しませることができれば、モヤモヤは晴れるのではないですか?』

って書いてきたんだよ?」

「あははは、それちょっと違うよねぇ。」


蔵人さんの声

「そうだよ。啓太さんが葉月から離れて行っちゃうかもって不安になってるんだから、
『僕がいるじゃないですか』って言って欲しかったよ」


蔵人さんの声

「でもね、それはね…」

啓太さんが蔵人さんの気持ちを代弁してくれたりして、なんだか変な構図になっちゃった。


啓太さんの声

でも、この数日後に葉月は蔵人さんに会うことになるんだけど、
この時の啓太さんとの話があったから、蔵人さんとも素直に向き合えたような気がする。

 

葉月はいつも思う。
蔵人さんがいるから啓太さんとの関係を楽しめる。
啓太さんがいるから蔵人さんとの関係がうまくいく。

葉月自身は何もしていないのに、二人の男性が両側から葉月を支えてくれて、
いつも葉月を楽しませてくれる。

 

これは啓太さんにもメールで伝えたことなんだけど、
好きになったらとことん惚れてしまう葉月は、
時に気持ちが重くなり過ぎて相手の人に負担をかけてしまうことがある。
そして自分も苦しくなる。

啓太さんと蔵人さんがいてくれることで、
「分散」というと言葉は悪いんだけど、うまく自分のバランスを取っているような感じがする。
啓太さんへの嫉妬を「楽しめるかもしれない」と思えるのも、
蔵人さんの存在があるからだ。


啓太さんの声

「まぁ、先のことはわからないけど、
何があっても俺と葉月さんの関係はこれからもあまり変わらないと思うよ」

 

そう言われた時、「ホントかな?」って葉月は思った。

変わらない関係なんてない。
葉月はどんどん歳取っていくし、啓太さんが直感で女性を好きになることも知ってる。
「その時」の覚悟はできてるよ、って内心思ったけど、
啓太さんがそう言ってくれた優しさは素直に受け取ろうと思ったので

「うん。そうだよね」

って笑いながら言った。

 

24時間営業のはずのそのファミレスが、
その日は何故か早めに閉店ということで、お店を追い出されてしまった。

駐車場で時計を見たら午前1時過ぎ!

ええーっ?
9時過ぎに会ったんだから、もう4時間も話してたってこと???

ぜんっぜんそんな長い時間とは思えなかった。
精々2時間くらいかなぁって感覚だった。

啓太さんとおしゃべりしてると時間が経つのが速いなぁ。

 

話の途中で追い出されてしまったので、なんか気持ちが中途半端。

啓太さんも同じ気持ちだったのか、

「まだ時間大丈夫?ちょっと公園でも行かない?」

って誘ってくれた。

 

この時間になっちゃったら、もう「大丈夫」の範疇をとっくに越えてるので(笑)、
葉月は同意して啓太さんの車に着いて行くことにした。

 

 

 

 

 

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