整理

 

 

 

 

葉月は啓太さんとの関係が始まってからずっと、
自分は恵まれているし、なんて贅沢なことをさせてもらっているんだろうって思っていた。

恵まれているし、贅沢なことは確かなんだけど、誰にでもできることじゃない。
葉月はそれを、「とても理解のある男性二人のおかげ」と思っていた。

だけど、これからはそれだけじゃダメなんだ、
葉月自身もしっかりとしてないと!ってことに初めて気付いた。

 

人より贅沢させてもらっているということは、人より複雑で難しいことをやっているということだ。
他力本願で楽しいことをさせてもらって「わーい♪」な気分ではいけない。
ここでしっかり「自分」を持っていないと、
誰かが傷ついて、せっかく楽しいこの三角関係が「やらなければよかった」ってことになる。

人より贅沢なことをさせてもらってるんだから、人よりリスクや弊害があるのは当然。
それを受け止められるだけの強くて賢い女でいなければならないんだって思った。

 

 

その方法を蔵人さんに教えてもらいたいと思った。

今みたいな環境を整備してくれたのは蔵人さんだ。
蔵人さんはいつも、葉月が一番楽しめるような環境を用意してくれるし、
そのためのアドバイスもくれる。

啓太さんとミキちゃんのデートを止めることはできないけれど、
今葉月はどういう考え方をしたらいいのか、このチクチクをどう処理すればいいのか、
それを教えて欲しかった。

 

だけど、週末忙しかった蔵人さんからはメールの返事がなかった。
葉月は蔵人さんからのメールがなかったことでさらに落ちた。

「啓太さんは他の人のところに行っちゃうし、蔵人さんも葉月のピンチを救ってくれない…」
っていうような、絶望的な孤独感を味わいながら
週末を迎えることになってしまった。

 

啓太さんもいない。
蔵人さんもいない。
全然贅沢じゃないじゃん。

アタシって実は孤独な女だったんだー、うわわーーん!

 

冷静に考えれば被害妄想なんだけど、こういう時は気分はドロドロ。
一旦落ちてしまうと理屈じゃない。

 

 

啓太さんからは「ミキちゃんと飲みに行ってきたよ」というメールが来て、
何度かメールのやりとりをした。

葉月はできるだけ自然に、卑屈にならないように、
正直な気持ちだけを啓太さんに伝えようと思って返信を書き続けた。

そう、この時に気をつけていたのは、
「卑屈にならない」ということと、「嫉妬を隠さない」ということだった。

 

ことの他、クールな葉月さんでよかったよ!
もうそれで充分クールだよ。

え?
アタシ、全然クールじゃないよ。熱いし、結構ベタベタしてるよ。

でも、なんて言うか、筋が通らないことが嫌いなんだよね。
今まで自分が二股かけてるようなことをさせてもらってて、
それでいて啓太さんを独占するなんてことをできるはずがない。

だから「クールにならなくちゃ!」って、頭で考えてるって感じだな。
大丈夫だよ、その辺はおバカちゃんじゃないって自信あるから。

二股も何も…。かなり逸脱した二股だし何せ葉月さんは奪う恋愛しないじゃない?
憎まれるのは奪う二股で怠惰な二股であって「二股」が問題じゃないと思うよ。

俺ね、ひとつだけ言っちゃいけないことがあると思ってるんだけど、
「あんたも同じことやってるじゃん!」ってのはナンセンスだと思うんだ。
同じことしてても違う人間だったら意味も作用もみんな違うと思うんだ。

それはどうかな。
葉月は自分がやってることを人もやろうとしてた時にその人のことを止められない。

 

しかしこのネタはなかなか話がつきないね。
俺と葉月さんの今期最大トピックかなあ。

そうだね。今までこんなに熱く語り合ったことはなかったかも。
いつもファミレスで3時間とかしゃべってるのにね(笑)

 

こんなやりとりを携帯で何度も繰り返して、これはこれで楽しい時間だった。
葉月は自分に嘘をつかないように、でも啓太さんに変なプレッシャーをかけないように、
言葉を選びながらメールを送ってた。

啓太さんも、葉月が送るメールから逃げないで、丁寧に返信をくれていた。

 

そのうちに、なんだか気分が変わってきた。
葉月の気持ちがなんとなく整理されてきたのだ。

こういうメールのやりとりは楽しいし、
これならチクチクする嫉妬も楽しめるかもしれないって、ちょっと思えてきた。

 

とにかく、嫉妬に燃えるエッチでもしようよ。夏到来だしね!

うんうん。夏だしね。

 

啓太さんはいい男だ。
啓太さんはモテモテのプレイボーイじゃなくちゃいけない。
葉月の安っぽい嫉妬や、チンケな独占欲なんかで普通の男に成り下がってもらっちゃ困る。

そして、そんなプレイボーイの啓太さんが、
葉月よりも楽しめる女性と出会ったなら、それはそれで仕方ないこと。

 

そう思い始めたら気持ちが少し楽になってきた。

 

 

 

 

 

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