乱田さんの吊り

 

 


その幸運は、突然やってきた。
yugeさん主宰の縄無間のオフ会に参加している時のことだった。

オフ会の会場は六本木にある乱舞館というバー。
乱舞館はプロの緊縛師、乱田 舞さんがオーナーをなさっているお店だということだった。
店内にはモニターがあって、乱田さんの緊縛ショーのビデオが映されている。

オフ会の途中で、突然乱田さんがお店に現れた。
yugeさんをはじめ、みなさんが挨拶や言葉を交わしていたけど、
葉月なんかには遠くからお姿を拝見することしかできなかった。

 

オフ会も後半になって、自称「乱舞館の常連」OGREさんが乱田さんに声をかけた。
「乱田さん、この人が乱田さんに縛ってもらいたいって。」
「この人」ってのは葉月のことだ。

 

え?え?え?
葉月そんなこと言ってない。(汗)

 

OGREさんたら予告もなくなんてことを〜〜!(汗汗汗)

葉月が否定する前にカウンターで飲んでいた乱田さんが振り返って言った。
「いいよ」

 

え?え?え?えええええ〜〜〜〜っ?

 

「いいよ」ってのは葉月を縛ってくれるって意味だよね???
葉月はこの時点で初めの軽いパニックに襲われた。

乱田さんはすでにカウンターから立って葉月の方を向いている。
葉月は混乱しかけている頭で必死に今自分が置かれている状況を把握しようとしていた。

 

プロの緊縛師の方が葉月を縛ってくださる?
しかもかの有名な乱田舞さんが!
こんな機会はもう一生ないぞ〜〜〜!

どんな感じがするんだろう?
プロの縄ってのはご主人様の縄とどう違うんだろう?
縄、縄、縄....!
あー、ダメだ、葉月は縛られたい!
縄とか縛りとかいう言葉に葉月の頭は異常に反応してしまう。

だけど、ご主人様以外の人に縛ってもらったら、後からご主人様に叱られないだろうか?
次に頭をよぎったのはこのことだった。

他の人に縛られる。
しかもこんな人前で!
ご主人様は怒るかも知れないな。

 

でもここへ来る前にご主人様に「いってきます」のメールを出したら
「楽しんできなさい」ってお返事をもらえたんだった。
今葉月が「楽しむ」ってことは、乱田さんに縛ってもらうってことだ!

そーだそーだ、そういうことだ!

葉月はいつものように自分本位の解釈をした。

 

ただ、このオフ会に参加するお許しをもらう時にご主人様と約束したことを思い出した。
「パンツは脱がないようにしますから」

そんなことを3秒くらいの間にごちゃごちゃっと考えた。
葉月は立ち上がりながら乱田さんに
「ご主人様からはパンツは脱ぐなって言われてるんですけど、着衣のままでもいいですか?」
と聞いた。
この時点で葉月はすっかり縛ってもらう気になっている。(笑)
「いいですよ」と乱田さんは苦笑していた。

 

 

 

こんな経緯で、乱舞館の店内で葉月は縛ってもらえることになった。
葉月はサンダルを脱いで乱田さんに「よろしくお願いします」と頭を下げた。

乱田さんは葉月に「どういう風にされたいんですか?」と聞いた。
どういう風にと聞かれても、なんと答えていいのかわからない。
葉月が返事に詰まると乱田さんは、その時モニターに映っていた画面を指さして
「こんな風にしましょうか?」と笑いながら言った。
葉月が見上げるとモニターにはエビぞりに吊られてくるくる回されている女の人が映っていた。
(またまた、ご冗談を!葉月はへなちょこなんですよ!こんなことできっこない!!!)
葉月はそう思いながら口の中でもごもごと返事をした。
自分でも何を言ってるのかわからなかった。

 

乱田さんの前に立って手首を後ろに回しながら葉月はわくわくしていた。
これからいったいどんなことが始まるんだろう?

それからもうひとつ葉月がこの時考えていたことは
ご主人様にこのことをちゃんと報告しよう、ということだった。
ご主人様の縛りとどこが違ったのか、何が良かったのか、
しっかり記憶に刻み込んで覚えていよう、と思っていた。

手首の次は胸に縄が回された。
乱田さんは丁寧だけど素早く、葉月の胸に縄をかけた。
ご主人様よりちょっと緩いかも...?
なんてことを考えているうちに上半身はぴっちり縛られてしまった。
あれれれ?早いっ!

その上半身が少し上に引っ張られる感じがした。
おそらく天井のフックに縄がかけられたのだろう。
だけど足は床にまだちゃんとついている。
(覚えてなくちゃ、覚えてなくちゃ)
葉月は二の腕と胸にかかった縄の感触によって失われそうになる理性を必死に保とうとしていた。

 

 

片方の足首に縄がかけられて、上に引き上げられた。
直立の姿勢が初めて崩れた。
この緊張感が堪らない!
胸にかかる縄の圧力が少し強くなる。
でも、痛みや苦しさはどこにもない。
(あ、気持ちいいかも〜〜〜〜)

そう感じた次の瞬間、葉月の身体がふわっと宙に浮いた。

 

 

何が起こったのかまったくわからなかった。
とにかく「ふわっとした!」ということしかわからない。
ふわっとした感覚と同時に目眩のように頭の中が白っぽくなった。
はっきりと記憶に残っているのはここまでだった。

 

 

数日後にyugeさんから画像を送ってもらって初めて「こんなだったんだ!」ってわかったほど、
葉月はこの時のことはよく覚えていない。
身体がふわふわした感じで、店内の暗い景色がゆっくり回っていた。
回っていたのは視覚の記憶として残っているんだけど
自分が回されていたのかどうかはこの時にはよくわからなくなっていた。
(「このビデオみたいに」って冗談じゃなかったんだ)
そんなことを一瞬考えたような気がするけどそんなことはすぐにどこかに消えた。

葉月は完全に訳がわからなくなっていた。
途中乱田さんが「大丈夫?」と声をかけてくれたような気がするけど
(何故それを覚えてるかというと乱田さんの声にきゅきゅっと来ちゃったから)
その問いかけになんと答えたのか、何かを答えられのか、わからない。

 

 

何回か回された後、急に髪を掴まれて頭を上げさせられた。
この時初めて「苦しい」とちょっとだけ思った。
だけどそれはとても心地よい苦しさで、葉月は全身に鳥肌が立つような快感を感じていた。

もっとされたい!もっとひどいことして欲しい!
もっと、もっと、もっと、もっと!
朦朧とした頭の中でそのことだけは強く思っていた。
何か声をかけてもらったような気もするけどよく覚えていない。

 

 

画像を見ながら記憶を呼び起こす努力をしているものの、
本当にこの時のことはあまり記憶に残っていない。
断片的に横に動く暗い店内の光景と、縄が身体に食い込む感覚。
全体重がかかっていたはずなのに痛いと感じた記憶はない。
まるで夢の中にいるような気分だった。(と思う)

葉月が今まで経験したことのない甘美で不思議な感覚だった。

 

 

このあたりのことになるともうほとんど記憶にないのだけど
片足の縄を緩められた時(もう終わり?やめないで!)って思ったような気がする。
後から写真を見て「こんなカッコもしてたんだ!」って初めて知った。(赤面)

 

 

このパンツ丸出しのカッコはまったく記憶にないし、
この後どうやって下ろされたのかも全然覚えてない。

 

我に返ったのは両足が床について、yugeさんが写真を撮ってくれているのに気づいた時だった。
「とろんとしている顔を撮られてしまった!」と思ったのが正気に戻って(?)最初の記憶だ。
この写真(↓)はたぶんその前に撮られたもので、
こんなに近くから撮られているのに葉月は全然わからなかった!

 

 

みんなが拍手をしてくれていた。
その拍手が葉月ではなく乱田さんに向けてのものだということはわかっていたけど
葉月はその拍手で急に恥ずかしくなってきた。

同時にキツネにつままれたような気がしていた。
いったい今のは何だったんだろう???
葉月はどうなってたんだろう???
でもなんだかとっても気持ちよかったなぁ。

時間にすると15分か20分くらいのことのように感じたんだけど
後からyugeさんに聞いたらほんの5分くらいだったそうだ。
とにかくあっという間の出来事だった。
全然覚えてないよぉ。(もったいない涙)
これじゃーご主人様に説明できないよぉ。(ごめんなさい涙)
あーーん、でも気持ちよかったことだけは全身で覚えてる〜〜〜!
こりゃ〜いったい、どうなっちゃってるんだ〜〜!

 

そして不思議なことに時間が経つに連れてドキドキしてくる。
今でもあの時のことを思い出すと記憶がないくせに身体が熱くなってくる。
そんな、魔法にかかったような体験だった。
(全然レポートになってないなぁ。反省)

 


いつでも誰でも縛ってもらえるってことではないと思う。
乱田さんだっていつもお店にいらっしゃるはずはない。
たまたま乱田さんがいらっしゃって、OGREさんが声をかけてくださったこと、
それからyugeさんのオフ会だということで乱田さんが花を添えてくださったこと、
(もちろん「花」っていうのは葉月じゃなくて乱田さんの「縄」ってことね)
いろんな幸運が重なり合っての葉月の「夢体験」だった。

こんな素敵で貴重な体験をさせてくださった乱田さん、乱舞館さん、OGREさん、yugeさん、
本当にありがとうございました。
そして乱田さんファンのみなさま、ごめんなさい!

 

 

なお、このページに掲載されている画像はすべてyugeさんが撮影してくれたものであり
yugeさん、乱田さん、乱舞館さんには掲載のお許しは頂いています。
無断転載はしないでください。

 

追記:Bar 乱舞館は2007年に閉館しました。
たくさんの思い出があるお店だったのにとっても残念です。

 

 

 

 

 

葉月の箱INDEXに戻る

裏葉月メニューに戻る