福耳の悪魔 6

 

 

 

月曜日の夜だけど、ススキノは日本有数の歓楽街。
まだ夜の10時過ぎだし、人出は多い。

 

賑やかな通りに出る手前のところで、

「それじゃここで1枚撮りましょう」

って一発さんが立ち止まってカメラの用意を始めた。

 

「はーい♪」

露出が嫌いじゃない葉月は、ドキドキしながらもやる気満々。

 

 

「それじゃそこに立って…、コート脱いでください」

「えーっと、脱いじゃっていいの?」

 

葉月はちょっと周りを見る。
車は結構通ってるし、人も何人も歩いてる。

 

葉月が「脱いじゃっていいの?」って聞いたのは、自分が恥ずかしいとか見られるとかのことよりも、
通報されたり警察にみつかったりして一発さんに迷惑がかかることが気になったからだった。

裸になること自体は、そんなに抵抗はない。
人が1人もいない山奥で脱ぐよりも、こういうところで脱ぐ方が絶対におもしろい。

だけど、裸の女とカメラを構えた男がいたら、何かあった時に悪者になるのは男の人の方だ。
撮影をお願いしたのは葉月の方なのに、
一発さんに迷惑をかけることだけはしたくない。

 

そんな葉月の気持ちを知ってか知らずか、
一発さんは人が近づいてきたのを確認してからもう一度

「脱いで」

って言ってくる。


一発さんの声

ひー。
なにも人を待って脱がすことはないじゃないのよ。

ってちょっとばかり躊躇したけど、

ここで脱がなきゃ裏葉月の葉月の名が廃る!

…ってことまでは思わなかったけど、
「アタシ、このくらいのことは平気ですけど?」ってところを見せたくて、
「えーい!」ってコートを腕から抜いた。

 

 
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一発さんはすぐには写真を撮らないで、
「はい、コートこっち」ってそのコートを葉月からゆっくり奪い取ってしまった。

ひひぃーー!

同じ全裸でも、コートを手に持ってるのと持ってないのとでは心細さが全然違うんだよなー。
もうどうにも隠せない状態になる。

 

そして一発さんはわざとゆっくりカメラを構えてのんびり写真を撮っている。
その間、何人もの人が葉月の横をチラチラ見ながら通り過ぎていく…。

 

うー、この男、タダモノじゃないな。
この度胸はなんなんだ?
地元民のくせに!

 

葉月は今まで、いろんな人にいろんな露出写真を撮ってもらったけれど、
ここまで度胸が据わってる人は初めてだ。

普通は、「ハイの合図で、パッと脱いでパッと撮ってサッと逃げる」みたいなのが基本。
一瞬でも裸になって、その一瞬をカメラで捉えれば、それは立派な露出写真になる。
その前後のことは写真だけを見た人にはわからない。

今やってることは「露出写真を撮る」というよりは「露出をして、ついでに写真も撮る」っていう感じだ。
考えてみれば葉月は「露出が目的の露出」って、ほとんどしたことがない。

 

これはちょっと、葉月が知ってるゲリラ的な撮影とは勝手が違うかも?

 

最初の撮影から葉月はそのことに気付いていた。

 

今まで葉月がどういう気持ちで露出をしてきたかというと、
サイトに飾って「おぉー、葉月ちゃん、凄い!」って言われたいって、それが一番の目的だった。
さらに言うと、
写真を撮ってくれた「撮影者」にもみなさんからの賛辞をあげたかったという気持ちもある。

いい露出写真は撮影者の手柄だ。
「よくこんな写真が撮れましたね」っていう賛辞は、被写体ではなく撮影者に向けられる。
だから、葉月が頑張ることで撮影者の株が上がるってことになるから、
葉月はそのために脱いでいた。

「葉月はここで脱ぎますから、そこからこっちに向かって撮ってくださいね。
後ろを歩いてる人もちゃんと入れてくださいね。それじゃ脱ぎますよー!」

ってそんな感じ。
自分が仕切ってる。

そうすることでサイトにはいい写真が飾れて、遊んでくれた撮影者もいい気分になれる。
葉月がやってきたのはそういう「露出」ばかりだったんだ。


一発さんの声

だけど、一発さんのやり方はそうじゃなかった。
葉月が自分で仕切るならとてもここまではできないなっていう、
その一歩先を指示してくる。

 

   
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この駐車場の向かいのビルの2階はガラス窓でこちらが見下ろせるスナックみたいなお店で、
そこのお客さん達がこっちを見てるのがこちらからも見える。

 

「じゃ、ここで脱いで。全部」

って、完全に見られてますけどー!
本当にいいんですね?って感じ。

こうなるともう、言われた通りにするだけ。他のことは考えられなくなる。

自分の限界以上の指示。

これは葉月には初めての経験だったかもしれない。

 

もっとも、初期の頃はスカート捲ってチラッとパンツ見せるくらいでも限界だったわけで、
当時の限界をクリアしてきたから今の葉月がいるわけなんだけど、
ここ数年は経験がない。
(特にここ数年は露出ってものから縁遠かったし。)

 

一発さんに言われたところで、言われた通りに脱ぐ。

それができるかできないかじゃなくて、指示通りにする、ただそれだけ。

葉月の意思は関係ない。

そうすることが心地いい。

 

 
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夜の街で全裸になる。
そしてまたコートを羽織って移動する。

移動しながら一発さんは、葉月の手や太ももに、爪を立ててくる。
そうされるとさっきの不思議な快感がキューンって蘇ってきて、
「うっ」って葉月は立ち止まってしまう。


一発さんの声

「ちゃんと歩いて」

って葉月の手の平に爪を立てながら一発さんが言う。

端から見てる人には仲良く手を繋いで歩くカップルに見えていたかもしれない。

でも違う。

街中で裸にされて写真を撮られては、コートを着せられて体中に爪を立てられる。
羞恥とか被虐感とか、そういう意識とか感覚はもうない。

 

言われた通りにしているだけ、
そして一発さんの気まぐれで爪の痛みを与えられるだけの自分がいる。

 

 

 

 

 

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