預託6

 

 

 

「それじゃ、お尻とお腹とどっちに出そうかな」

って東吾さんが言った。

 

「え?それならお口に!」

って葉月が言った。
何も考えずに本能的に言ってしまったことだった。

 

「お口かぁ。お口に出すのはあまり好きじゃないんだけど…」


東吾さんの声

そそそそうなのか!
そうとは知らずに余計なことを言っちゃった。(^_^;)

それでも東吾さんは葉月のリクエストに応じてくれて、お口に出してくれた。

本当は、お尻でもお腹でも場所はどこでもよかったんだけど、
「もらえた!」ってことをより実感できるお口に欲しかった。

 

自分が穴として使えたっていう証、その証をもらって安心するという性質は、
相手が蔵人さんじゃなくても同じなんだなって思った。

東吾さんが葉月とのエッチで楽しんだかどうかってことと射精とは
まったく別物だっていうことはわかっているけれど、
男の人の楽しみは射精の有無とは関係ないっていうこともわかっているけれど、
それでも最後にもらえるかもらえないかっていうことは葉月的には大問題。

東吾さんは、たぶん葉月のそういう気持ちはお見通しだ。

 

これから何度も継続していく関係じゃない。
なりゆきでやっちゃったエッチでもない。

ちゃんと蔵人さんを通して正式に葉月を借り出してくれてのこの時間なのだから、
きっちり出して蔵人さんに返すのが礼儀、
っていうようなことも東吾さんは思ってたんじゃないかなぁ。

 

葉月もそう思う。
葉月が気持ちよくしてもらうことももちろんだけど、
葉月を使ってもらって楽しんでもらって満足してもらった方が、
蔵人さんも絶対に喜ぶ。

東吾さんはそういうところも全部わかってる人だなぁって思った。

 

 

ベッドの上でしばらくまったりお話をして、ふと時計を見たら23時になっていた。

うわー!
22時半くらいの電車には乗って帰りたいと思ってたのにもう23時!

時間が経つのって速いなぁ。
慌てて帰り支度をする。

 

でも、嬉しいなって思った。
東吾さんには「10時か10時半くらいの電車には乗りたいです」と言ってあったけど、
時間より早めに「それじゃ時間だから」ってキッチリ帰されちゃうよりも、
気がついたら時間が過ぎていたっていう方が楽しんでもらえてたって気がするもん。

 

東吾さんは会った時と同じバッチリ決まったスーツ姿のおじさまに戻っていた。
葉月もお道具をバッグに収納して帰れる状態になった。

 

「東吾さん、今日は葉月でお楽しみ頂けましたか?」

最後の最後に、ソファに座っていた東吾さんの前に座って、
葉月は上目遣いに東吾さんに聞いてみた。

 

「もちろんですよ。楽しかったです。蔵人さんにお伝えください。
『蔵人さんが丹精に育ててるだけあって、
大変おいしく楽しませて頂きました。ありがとうございました』って」


蔵人さんの声

東吾さんのその言葉を聞いて葉月は泣きそうだった。

東吾さんに楽しんでもらえてよかったなぁっていう安心した気持ちと、
今日一日でとってもよくしてもらった楽しい時間が、
続きのない1回限りのことである淋しさと、
急激に恋モードになってすぐに戻らなくちゃいけない切なさ。

葉月は自分を気持ちよくしてくれた人に恋をする。
その辺の自分の気持ちにブレーキは掛けてないので本気で気持ちが無防備になる。

だけど今日のことは一日限りの「イベント」なんだってこともよくわかってる。
初恋と失恋を一日でしちゃってるようなものだ。

こういう気持ちになることを覚悟のうえで葉月は今日この場にいる。

 

「ありがとうございました」

 

床に座ったまま、
ソファの東吾さんの膝に手をおいて、葉月はお礼を言った。
東吾さんは葉月を見下ろしながら優しく微笑んでくれた。

 

 

素敵なおじさまとのたった一日の疑似恋愛。

思い出と切なさと、ちょっと自信をもらって葉月は蔵人さんのところに戻る。
「初めてのおつかい」を無事に果たしてきた子供のようだ(笑)。

東吾さん、ありがとうございました。

蔵人さん、ただいま。


東吾さんの声

女の貸し借りをする男達。
紳士的な東吾さんと蔵人さん、なんかカッコいい。

葉月はただ、ボールのように投げられて戻されただけだけど、
最初に投げられた時よりも
ちょっとだけ艶っぽくなってないですか、蔵人さん?(^_^;)

 

 

 

 

 

 

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