緊急お泊まり2

 

 

 

蔵人さんが予約してくれたホテルは、誰でも知ってる一流ホテル。
葉月はこのホテルで食事をしたことはあるけれど、泊まったことはなかった。

 

お部屋は広くて落ち着ける雰囲気で、窓からの夜景が綺麗だった。

葉月の場合、夜景が綺麗なところに連れてくればとりあえず機嫌がいいってことは、
蔵人さんもわかってくれてるみたいだ(笑)。

でも、葉月が不安定になったために蔵人さんには無理にお泊まりさせちゃって、
しかもこんな高そうなホテルまで取ってもらっちゃって、
申し訳なかったなぁって気持ちにもなった。

 

それよりもっと申し訳ないと思ったのは、
葉月のためにこんなにスペシャルな救急車を発動させてくれる蔵人さんのことを、
日記で「ピンチの時に助けてくれない」なんて愚痴っちゃったことだ。

 

「蔵人さん、ごめんなさい。
葉月、日記に蔵人さんが助けてくれないって書いちゃった。」

「ふふ。いいですよ。
このところ忙しくてコミュニケーション不足だったのは本当ですからね」

 

コミュニケーション不足は、蔵人さんも自覚してくれている。

でも葉月だって蔵人さんが今、とっても忙しい時期なんだということは聞いていた。
聞いていたのに、葉月がしっかりしなくちゃいけない時期だったのに、
精神的に崩れて迷惑かけた。
やっぱり申し訳ない。

 

コミュニケーション不足を埋めるために、蔵人さんはこの時間を作ってくれた。
だから、最初の最初から「なんでも聞きますよ」っていう態度でいてくれたし、
葉月が何を言っても静かに聞いてくれてコメントもくれる。

話を生で聞いてもらえるだけで、「安心」がじわじわと全身に広がってくる。

あぁこういう時間が欲しかったんだよって思った。
普段からこういう時間がもう少しあれば、
葉月は安定していられるのかもしれないなって思った。

 

蔵人さんからもらったメールの中で、葉月が気になっていた「自信」のこと。
これについてはちゃんと自分の考えを言えた。

葉月の自信は、「自分らしさを自分で認めること」ではなくて、
人の評価によって積み上げられるものだということ。

そもそも「自分らしさ」なんてなんだかわからない。

葉月は仕事のことだったらクライアントに喜んでもらえて次の仕事がもらえたり、
会社から評価をもらったりすることで自信になる。

女としては、男の人から好意を持ってもらえたり、
エッチしてもらえて満足してもらえたり、射精してもらえたり、
そういうことからじゃないと自信は生まれない。

 

葉月にとっての自信は、「自分以外の人」にどう思われているかが重要で、
だから自信をなくして淋しくなった時に、
「自分らしさ」を信じることでは解消できないんだっていうことを
蔵人さんに一生懸命伝えた。

蔵人さんはじっくり聞いてくれて、自分との違いを説明してくれた後で、
蔵人さんが思う葉月の「葉月らしさ」を教えてくれた。

 

蔵人さんが「葉月らしさ」を教えてくれたっていうことは、
前のメールに書いてあったことと合わせると、
「葉月は他とは置き換えできない女だ」っていうことだ。
(自分の中で蔵人語を翻訳しないとわからないところが面倒くさいけど。笑)

 

うへへへへ、そぉーなんですか。(にひひ♪)

 

蔵人さんの説明に、葉月はデレッとしてしまう。

そういう風に思ってるのならさ、
葉月が凹んでる時にそう言ってくれればよかったじゃないですかぁ。

まぁ、葉月がピンチの時に無理をしてでもこういう時間を作ってくれたっていうことで、
蔵人さんの気持ちは鈍い葉月にも充分通じてますけどね。

 

 

それともうひとつ。
蔵人さんからもらったメールの中で、葉月にはどーしても納得できないことがあった。

葉月が「蔵人さんには独占欲はないのか?」って聞いたことに対する蔵人さんの回答の部分だ。

 

…だからこそ、葉月さんが他の人と遊んでも楽しかったと言ってもらえると、
安心できるのです。

もし、僕とでなければ楽しめないと言われてしまうと、
万が一のときに葉月さんを追い詰めてしまうことになりかねないからです。

 

はぁ?

蔵人さん、何言ってんの???

 

蔵人さんが最初から、葉月を「自分仕様」ではなくて
「他でも通用する女」に育てようとしていることは感じていた。
葉月が他の人に遊んでもらうことを禁止しないどころかむしろ奨励しているようだったし、
葉月が外で遊んでもらって「楽しかった」と言えば本当に喜んでくれていたのもわかってる。

でも、「それが目的」ってこと?
つまり蔵人さんは、葉月を手放すことを目的に遊んでくれてるってこと?

 

それって、これだけ心も体も預けてる葉月に対して、
失礼なんじゃありませんか?
どうしてもっとどーんと受け止めてくれないの?

 

葉月が「蔵人さんじゃなきゃダメ」って状態になって、蔵人さんに万が一のことがあった時、
そりゃー葉月は辛い思いをするだろうと思いますよ。
思うけど、でもそうなれたら本望ですよ。

女として、「この人以上に自分を気持ちよくできる人はいない」って思える人と出会えたこと、
そう思える人と一時でも時間を共有できたと思えることは幸せなことだ。

 

蔵人さんが言ってるのは、
葉月が大嫌いな「失恋の悲しみを味わいたくないから恋をしない」っていう考え方と同じだ。

 

「っていうか、
そんな状態(蔵人さんじゃなければ葉月を気持ちよくできない状態)に、

できるものならやってみやがれ、バカヤロー!って思いますけど?」

 

ちょっと勇気を出してクレームをつけてみた。

 

「そうですか。わかりました(笑)」

って、蔵人さんは葉月のクレームに怒ってる様子もなく、笑ってた。

 

笑ってたくせに…、
葉月はこの直後、完全にヘロヘロにされてしまった。
蔵人さん、笑ってたけど内心「生意気なことを…!」って思ったのかも。

しかも、この時蔵人さんはまだ服を着たままだった。
葉月も、スカートより上はまだ服を着てた。

なのにヘロヘロにされちゃった…。

 

最近ダメなんだ。
蔵人さんの太ももギューの技に、葉月は太刀打ちできない。

葉月の挑発に乗って、すぐに切り替えてこういう攻撃をしてくるところ、
やっぱり蔵人さんには敵わない。

 

 

 

 

 

 

 

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