拒否られる。

 

 

 

蔵人さんがシャワーを浴びにいって、
ベッドに戻ってきた時もまだ、葉月はぐったりしたままだった。

でも本当に気持ちよかったことと、そうしてもらったお礼を言いたくて、
蔵人さんに少しずつ話し始めた。

 

「蔵人さん、葉月ね、今本当に気持ちよくて、
もしかしたらおまんこのエッチよりも気持ちよかったかもしれません」

「そうですか。よかったじゃないですか」

「葉月ね、どういう風に気持ちよかったのかを蔵人さんにわかってもらいたいと思うけど、
それがうまく伝えられないのが悔しいです。
蔵人さんは葉月がどういう風に気持ちよかったか、
様子は見てわかっても感覚としてはわからないでしょう?」

「わからないですねぇ」

「わかってもらいたいなぁ。
それをわかってもらえないと、
葉月がどれだけ蔵人さんに感謝してるかってことが伝えられないもん」

「そんなこと、いいですよ」

「よくないです!
あ、そうだ。今度蔵人さんにもやってあげましょうか。
葉月、蔵人さんみたいに上手にできないかもしれないけど」

「やるって何を?」

「お尻。蔵人さんにもお尻はあるじゃないですか。指とか入れてみるの」

「いいいいいいですよ。僕は遠慮しときます(笑)」

「え?なんで?なんでそんなに嫌がるの?
男の人だってアナルオナニーとかしてる人っているじゃないですか。
そのための道具も売ってますよ?」

「だから僕はいいですって!」

「やってみなくちゃわからないじゃないですかぁ。
もしかしたら物凄く気持ちよくなれちゃうかもしれないですよ?
未知の快感っていうのは知らない時にはわからないものです。
葉月もそうでしたから♪」

「いいって言ってるのに…」

「あれ?おっかしいじゃないですか、蔵人さん。
蔵人さんは葉月の知らない快感をいろいろ教えてくれたでしょ?
もっと気持ちよくなりたいって思ってる葉月の貪欲な姿勢を、
応援してくれてたってことですよね?
その蔵人さんが、どうして自分が気持ちよくなることにそんなに後ろ向きなんですか。
納得できないなぁ」

「僕は葉月さんが気持ちよくなればそれでいいんですよ」

「どうして?肉体的不感症男だから?」

「不感症ってことじゃないですよ。
だからお口とか騎乗位とかもっと練習して気持ちよくしてって
いつも言ってるでしょ?」

「お口とか騎乗位とかなら、
他のもっと上手な人に気持ちよくしてもらったこといっぱいあるんでしょ?
でもお尻はまだなんでしょ?」

「……っこい」

「へ?なんですか?」

「しつこい(笑)」

「しつこいかなぁ?どうしてかなぁ?」

葉月食い下がる。

 

だって、蔵人さんはいつも葉月に、新しいことに挑戦させてくれたし、
葉月がビビっても「やってみなくちゃわからないじゃないですか」って言って背中を押してきてくれたのに、
自分のことになると異常に保守的。
これってどういうことなのよ?

「楽しみましょう」って蔵人さんは常に葉月に言い続けてきた。
今の葉月がこうしているのは、蔵人さんのそういう「教え」のお陰だ。

その蔵人さんがチャレンジしないでどーするんですか!

って、ムキになる葉月。


蔵人さんの声

でも、これ以上ムキになっても平行線なのでこの話はこのくらいで終わり。
この後、蔵人さんの背中をマッサージさせてもらったんだったかな?

蔵人さんの背中はバリバリのゴリゴリで、
葉月の細い指ではとてもとてもほぐすことはできなかったけど、
蔵人さんの体を好き勝手に触らせてもらえることが嬉しかった。
いつまででもやっていたい気持ちだった。

最後に腕をキュッキュッキュッって押して、手の平をツボを押したりしてる時、
蔵人さんの大きな手を見ながらいろんなことを考えた。

 

大きくて分厚い手。
太い指。

 

いつもこの指で葉月を気持ちよくしてくれてるのかぁ…って思った。

その大きな手が、今は葉月の両手の中にあって、
蔵人さんは完全に脱力して葉月にその手を任せてくれている。

力のまったく入ってない大きな手。
大好きな蔵人さんの手。

少し前までは蔵人さんに触るのもビクビクしてて、
初めて手を繋いでもらったのもお付き合いを初めてからずいぶん経ってからだっけ。
あの時は物凄くドキドキしちゃったんだよなぁ。

あの時あんなにドキドキしちゃった手を、今は普通に触ったり掴んだりしちゃってる。
こんなことができるようになっちゃったんだな…。

 

今までの、いろんな記憶がぐるぐるっと蘇ってきた。
今までずっと蔵人さんに遊んでもらってきて楽しくて楽しくて、
自分はとっても幸せだと思っていたし実際幸せなんだけど、
でもその一方で葉月はずっと辛かったのかもしれないな、なんてことを思った。

大好きなのに触れなくて、自分がどう思われてるのかが不安で、嫌われないかとビクビクして、
いつも「してもらうばかり」の自分に自信をなくして、
蔵人さんが何を考えてるのかよくわからないし、
自分が必要な存在なのかもよくわからなかった。

会えばいつも楽しいし、「楽しかった」とも言ってもらえるけど、
心のどこかでは「認めてもらってない」「抱き寄せてもらえない」っていうような距離感があって、
その距離感がどうしていつまでも埋まらないのか、
葉月にはわからないでいた。

 

でも、距離感を埋めるのは、実は簡単なことだったのかもしれない。
蔵人さんは知り合った時からずっと変わらないスタンスで、
ずっと葉月を見守ってくれていた。
蔵人さんが動かないから、葉月も動けないでいたんだけど、
思い切って抱きついちゃえばよかったんだ。

抱きついても飛びついても、蔵人さんは壊れないし倒れない。
そんな簡単なことが葉月にはわからなくて、
葉月はずっと、無駄に辛い思いをしていたんだな…なんてことを、
蔵人さんの手を見ながら思っていた。

蔵人さんの手の平をぷにょぷにょしてもモミモミしても、蔵人さんは手を引かない。
もっと早く、こうしてればよかったな。
ずっとしたかったのに。
気付くまで4年もかかっちゃったよ。

 

「どうしたんですか?」

って蔵人さんが声をかけてきた。

「へ?何が?」

いろんなことを考えていたところに急に声をかけられて葉月は焦った。

「急に黙っちゃって」

「いえいえ、別に。
蔵人さんのことをこうやって触れて嬉しいなぁって思って。えへへ。」

そう言いながら蔵人さんに抱きついた。

 

蔵人さんって、わかりにくくて好きになるのが難しい人だよなぁって思った。

そう、とにかくわかりにくいんだよ。
わかりにくい男を好きになっちゃったから、
ちょっとわかるまで4年もかかっちゃったよ。

 

でも、好きなんだよなぁ。
どんどん好きになってくる。

 

 

 

 

 

 

 

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