全頭マスクの夜6&朝

 

 

 

蔵人さんが待っているお部屋に戻った。

 

「啓太さん、帰っちゃいました…」

「うん」

 

蔵人さんと2人の静かな空間になって、
葉月はついさっきまでこの場所で繰り広げられていた「日常ではありえない行為」の記憶を
もう一度噛みしめていた。

 

男の人の性欲の対象になりたい。
相手のことを気遣うことなんて必要ない状態にされてみたい。
与えられる刺激だけに没頭してみたい。
ただ使われるだけの肉便器になってみたい。

そんな葉月の願望を、
安全な形で叶えてくれた蔵人さんに感謝の気持ちが湧いてきた。

 

葉月のわがままな願望、肉便器の疑似体験をさせてくれるために、啓太さんを呼んでくれた。
ケガしてたのに来てくれた啓太さんにも感謝。

 

「蔵人さん、葉月ね…」

蔵人さんが待っているベッドの中にもぐり込みながら葉月は言った。

 

「葉月は蔵人さんの肉便器になれればそれでいいのかもって思いました」

 

いろんな欲を蔵人さんに話せば、大抵のことは叶えてくれる。
別のところに出掛けていかなくても蔵人さんのところにいれば、
葉月はそれで満足できるかもってことを言いたかったからそんなことを言った。

 

蔵人さんはそれを聞いてちょっと間をおいてから

「いや、葉月さんの本当の願望はそれなんじゃないかなってメールを読んで思いましたよ」

って言った。

蔵人さんのその言葉を聞いて、葉月は「え?そうなの?」って思って、
それから「あああー、そうか!」って思った。

 

余計なことを気にしてくてもいい「好きでもなんでもない知らない人」の欲望の対象になって
好き勝手に使われたいっていうことが自分の欲かと思っていたんだけど、
本当は違うんだって思った。

知らない人じゃなくても蔵人さんにそれをしてもらえばいいんだ。
っていうか、蔵人さんにそれをされたかったんだ!

 

葉月は今までずっと、
蔵人さんに何をしてもらっていても
心の隅っこの方で

してもらうばかりで申し訳ないなぁ

っていう気持ちになっていた。
だから自分の快感に完全に没頭できない。

蔵人さんがいつも保護者的なスタンス(と少なくとも葉月はそう感じてた)だったから
自分は蔵人さんの欲望の対象になっていない(ハァハァしてもらえない)ことに
女としての自信を持てないでいた。

いつも散々気持ちよくしてもらっているのに
どこか心が充たされてない感じがする。
気持ちよくしてもらっているのに完全に没頭できない。

不満はないはずなのにモヤモヤと感じる不満?
正体のわからないその不満のようなものを解消したくて、
それで「知らない人に好き勝手に使われてみたい」なんてことを言い出した。

 

葉月なりに真剣に考えて深刻に悩んだ末に出てきた案だったんだけど、
それをしてみてもきっと、モヤモヤは解消されなかったと思う。

葉月は、蔵人さんに肉便器のように使ってもらいたかったんだ!
「申し訳ない」なんて思う余裕もないくらいに
没頭できる状態にしてもらいたかったんだ。

 

自分でもよくわかっていなかったことを蔵人さんに話してみたら、蔵人さんが答えをくれた。
そのことがとにかく嬉しかった。

葉月が何にモヤモヤしてたのか、葉月が何を欲しかったのか、
それを自分でみつけたんじゃなくて蔵人さんの口から出てきたってことが嬉しい。
葉月のことをわかってもらえたみたいで嬉しい。

 

それから先は、さっきとはまったく違う、優しいエッチだった。

照明を消した暗闇だったけど、
全頭マスクと違うのは、うっすらと「暗闇蔵人くん」が見えること。

モノのように扱われるのも感じたけど、優しくされるエッチも好き。
ラブホじゃない、普通のホテルであることも忘れて、葉月は大声を出していた。

 

そして…、これが一生の不覚なんだけど、
あまりの気持ちよさに葉月は寝落ちしてしまって、
いつどういう状態で寝たのか全然覚えてない!

気がついたのはカーテン越しに朝の光がお部屋に差し込んで
すっかり明るくなっている時間だった。

 

 

目が覚めて一瞬「???」と思って、次の瞬間

あああああーーー!!!!葉月、寝ちゃったんだ!!!

って思った。

くーーーー。(涙)

 

そうだ、昨日散々気持ちよくしてもらって、それでどうしたんだっけ?

あー覚えてない。
覚えてないけど寝ちゃったんだー!

最後、蔵人さんにも気持ちよくなってもらおうと思ってたのにぃ。

 

隣を見ると蔵人さんはスヤスヤとお休み中。

あああー、申し訳なかったなぁ。
でもまぁ、チェックアウトまではまだ時間あるし、
朝エッチで気持ちよくなってもらえばいいよね♪

 

そんなことを考えてたら蔵人さんが目を覚ました。

 

「あ、起こしちゃいましたね、ごめんなさい。蔵人さん、おはようございます」

「おはよう」

「うふふふん、その言い方合格です♪」

 

前のお泊まりの時に葉月が「おはようございます」って言ったら
「おはようございます」って返してくれたことがあって、
こういう時は「おはよう」って言ってもらいたいなぁって言ったのを、蔵人さん覚えててくれたんだ♪
(よし、カスタマイズできてるぞ♪)

 

「昨日ごめんなさい。いつ寝たのか全然覚えてないんです」

「いや、僕もすぐに寝ちゃいましたから」

 

って言いながら、蔵人さんは葉月の体を触ってくれる。
葉月もそのつもりだったので思いっきりエンジンかかる。

 

掛け布団の中にもぐり込んで、蔵人さんのおちんちんにしゃぶりつく。

「後ろ向きになって乗って」

って言われて蔵人さんに背中を向けて騎乗位。

 

「あっあっ、あふーーーん」

 

蔵人さんに背中を支えられながら葉月が動く。

 

でも自分が気持ちよくなっちゃってやっぱり上手に動けなくなって、
一旦抜いて蔵人さんの方を見たら、

 

「えっ????ええええっ????」

 

蔵人さんのおちんちんが真っ赤になってる!!!

なななななんで?

 

蔵人さんを見たら、蔵人さんの手に、べっとり血がついてる!!!

なななななな、なんで?

 

葉月?

アタシの血?

 

どうやら、予定より早く生理が始まっちゃったらしい。

そう言えば、朝起きた時にお腹が痛かったんだ。
ホテルの空調で冷えちゃったのかなって思ったんだった。

 

「ごごごご、ごめんなさい、蔵人さん!!!」

 

葉月は慌ててティッシュを数枚抜き取ってまずは蔵人さんの手を拭く。

おちんちんの方は口で綺麗にしたけど

「おえー、血の味が気持ち悪いですぅ」

などと自分で言ってしまう。

 

「ふふ、いいですよ」

って蔵人さんは言ってくれたけど、葉月はショックだった。

 

生理の時にエッチをしたことはあるけれど、
エッチしてる最中に生理が始まったのは長い女人生の中で初めてだ。

蔵人さんの指に、
「うわー、ザックリ切っちゃいましたね!」って言いそうになるくらいの血がたくさんついていた光景が、
理屈じゃなくってとにかくショックで、
それまで最高潮だったエロモードはそこで完全に切れてしまった。

 

「蔵人さんごめんなさい。
何も持ってきてないので下のコンビニで生理用品買ってくる」

「はいはい」

 

このままじゃ家に帰れない。
蔵人さんには申し訳ないと思いつつも、
頭の中は完全に「生理になっちゃったどうしようどうしようモード」に切り替わってしまった。

 

コンビニから戻ってきて、昨日買っておいたサンドイッチを一緒に食べたんだけど、
葉月の気持ちは超どんより。

蔵人さんに気持ちよくなってもらってないのに、
葉月の方のテンションがマイナス500%に激下がりしてしまって、
こんな葉月じゃどうにもならない。
こんな葉月が「申し訳ないから」なんて気持ちでお口でさせてもらっても
蔵人さんは喜ばないだろう。

 

だからどうしようもない。
どうにもならない。

蔵人さん、ごめんなさい。
昨日から、葉月をあんなに気持ちよくしてくれたのに。

 

 

チェックアウトして、駅に向かって歩き出したけど、
葉月があまりにもどんよりしてるので蔵人さんがお茶に誘ってくれた。

蔵人さんは、葉月が予想外の生理になっちゃったこともエッチが中途半端で終っちゃったことも、
全然気にしてない様子。

 

それから1時間くらいいつもの喫茶店でおしゃべりしてもらって、
やっと元気になってきた。
この時間がなかったら、せっかく楽しかった夜の経験がどんよりで霞んじゃうところだった。

こうやって、キッチリ葉月を元気にしてから帰すところ、
蔵人さんエライ!

 

最後は本当に申し訳なかったけど、「葉月のせいじゃない」って蔵人さんは言ってくれたし、
元気出すことにした。
最後が最悪だっただけで、いろんなことがわかった素敵な夜だったから。

蔵人さんの出張先に転がり込むお泊まりじゃなくて、
蔵人さんが葉月のために作ってくれた夜だったってことも、
時間や気持ちに余裕を持って楽しめた。
啓太さんが来てくれたことも物凄く嬉しかった。

 

全頭マスクが葉月に教えてくれたこと。
2人の男性が葉月に経験させてくれたこと。
素敵な夜景のお部屋が葉月に感じさせてくれたこと。

持ち切れないくらいのお土産をもらって、葉月は自分の世界に戻っていったのだった。


蔵人さんの声

 

 

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