打ち合わせ電話

 

 

 

「ねぇ蔵人さん、明日なんですけどね。
葉月、丸腰で行ってもいいですかね?」

デート前日の電話で、葉月は蔵人さんにこんなことを言っていた。

 

「明日、家からじゃなくて会社で仕事してから途中で抜けて行くので、
あの(巨大な)お道具バッグを持って行くと目立っちゃって。
遠いし。
それに、お道具持っていっても全然使わないことも多いじゃないですか」

「ふふふ。そうですね。
別に構いませんよ、『丸腰』でも(笑)」

 

「丸腰」っていうのは、お道具を使わないエッチのことを言う時の葉月の言い方なんだけど、
よく考えれば葉月が「丸腰」っていうのも変なものだ。
要するに「手ぶらで行ってもいいですか?」ってことを言いたかったわけだ。

 

「あ、でもまったく持っていかないってことじゃないので、
普通のバッグに入るくらいなら持って行きますよ。
ミニミニ(電マ)とか。
ミニミニの電池パック持っていけばコード要らないし」

「ACアダプターは持って来ないんですか?」

「え?あ、必要なら持っていきますけど…
でもACアダプタを持っていくなら延長コードもいりますね…って、
それじゃ結構重いじゃないですか!

「ふふ」

 

「他に蔵人さんが『これ』って言ってくれれば何でも持っていきますけど、
何かご指定のお道具はありますか?」

「別に…、あるものを使いますから」

 

うんうん、そうですよね。
蔵人さんはそう言ってくれると思ってましたよ。
それじゃお言葉に甘えて明日は自分のバッグ1つで身軽に…

って思ったところで蔵人さんが言葉を続けた。

 

「最近登場しなくなったお道具とかってありますよね?」

「へ?」

「前はよく持ってきてたのに最近バッグの中から消えてるものってあるでしょ?」

「それは…持っていっても蔵人さんがあまり使ってくれないものは、
持っていかなくてもいいのかなって思って。
新しいのを買ったら何かを出さないとどんどん重くなっていっちゃいますから」

「葉月さんが好きだって言ってたブルブルがついてない一本モノのバイブとか…」

「あーあれは、蔵人さんが引っ掛かりがないからつまらないって言って
あまり使ってくれなかったんじゃないですかー!」

「あと、ローター系も最近入ってないですよね」

「ブルブル系は電マがあるからいいかなぁと思って…。
あぁでも、ローターにはローターならではの使い道ってありますよね。」

「そうですね」

「って蔵人さん!!!
結局お道具持って来いってことじゃないですかぁ!
しかも電動系の重いものばかり!」

「いえ、なくなっちゃったものはどうなったかなぁと思って(笑)」

「わかりました、わかりましたよ!持って行きますよ!
でも、あのバイブ、どこにしまったかなぁ…」

 

葉月ができるだけ身軽に行きたかったのは、
今回はいつものデートとは状況が違うからだった。

葉月は普通に仕事してから蔵人さんの出張先に向かい、
そこでお泊まりさせてもらうことになっていたのだ。
翌日はホテルから直で出勤。
だからいつものお道具バッグを持ち歩いていたら会社で目立っちゃう。

その事情はわかってるはずなのに、蔵人さんの鬼発言。

 

「それじゃ全部じゃないけど持てるだけ持って行きますね。
何時に行けるかわからないけど、会社を抜け出せたら携帯に連絡入れます」

「わかりました。それじゃ明日」

「はい、明日♪」

 

 

いつものキャスター付きの巨大バッグじゃなくて、小さなボストンバッグを持っていくことにした。
時間がなかったので適当にお道具を見繕って放り込んで、
あとはストッキングの替えとパンツ1枚。
お泊まりって行っても準備はそんなものだ。

葉月は朝普通に出勤して、ハイピッチでその日の仕事を片づけて、
夕方コソコソと会社を抜け出した。

そこから先は蔵人さんの出張先まで一直線!

 

駅まで走って乗りたかった特急電車に飛び乗って、汗だくで蔵人さんにメール。

「予定の電車に乗れました!予想到着時刻は…」

しばらくして蔵人さんから確認のメールが入る。

 

今夜は久しぶりのお泊まりだ。

ワクワクドキドキしながら、葉月は蔵人さんの元へと向かったのだった。

 

 

 

 

 

NEXT:夜の公園

オセロ的保護者ルームINDEXに戻る

裏葉月メニューに戻る