短縮デート

 

 

 

4月は年度始めで、お互いにいつも以上に忙しいし、
最後の方はゴールデンウイークにもなってしまうので、
「本当に今月こそ、会うのは無理かもしれない」
って思ってた。

会うどころか、蔵人さんからのメールは「よくて週一回」っていうような状態。
普段は「メールがなくても平気」と言ってる葉月でも、さすがに限界に来ていて、
日記にダラダラと愚痴を書いたりする始末。

 

それでも、なんとかお互いに都合を合わせて会える日を捻出したんだけど、
その日は葉月が夜どうしても外せない仕事がある日で、
「できればこの日じゃない方がいいなぁ」って内心思ってる日だった。

でも結局その日しか会えないってことで、ギリギリ18時までのデート。
いつもよりちょっと時間が短くて、
帰りの時間をいつも以上に気にしなければならないハンデ付きのデートになった。

 

 

待ち合わせは「いつもの時間にいつものところ」。

少し早く着いた葉月は、壁際の席を蔵人さんのために空けて、
自分は店内に背中を向けて座って、先にお茶を飲んでいた。

 

「おはようございます」

って後ろから蔵人さんが声をかけてきた。

 

「あ、蔵人さん!おはようございますー♪」

 

あー、ダメだ。
蔵人さんを見ただけで顔がほころんじゃって戻らなくなる。

メールの返信をもらえないだの、電話をすれば機嫌悪くなっただの、
日記ではいろいろ愚痴をぶちまけていたのに、
蔵人さんを見ただけでこの変わりよう。


蔵人さんの声

「見ただけで」っていうこともあるんだけど、
メールの返信もできないくらい忙しくて大変な蔵人さんが、
葉月のためにこうして時間を作ってくれたってことがなんだか凄いことのように思えて、
蔵人さんが無理してお仕事の調整をしてくれたってことが嬉しかったとも言える。

 

「今日はすみません。葉月の都合でゆっくりできなくて」

「そういうこともありますよ。何時までいられるんでしたっけ?」

「18時の電車には乗りたいって感じです」

「わかりました」

 

いつも通りに弾丸のようにお喋りをして、
でもいつもよりもちょっと早くお店を出ることにした。
いつものようにお昼過ぎまでお喋りしてたらエッチする時間が短くなっちゃう。

 

「蔵人さん、お腹空いてます?」

「いえ、まだそれほどでも」

「それじゃコンビニで何か買っていきしょうか」

「それでもいいですよ」

「それとも、ルームサービスのあるホテルに行って、お腹が空いた時に中で注文します?」

「そんなところ、ありましたっけ?」

「前に行った、あのバリのホテル」

「あぁ、それでもいいですよ」

「それじゃそうしましょうそうしましょう♪」

 

せっかくのデートで蔵人さんにコンビニのお弁当食べさせるのも申し訳ないって思ったし、
早く蔵人さんと二人っきりになりたかったってこともある。

 

いつもよりいられる時間は短いけど、
いつもより早く二人っきりになれるんだ♪

 

あー、アタシってなんてポジティブ♪
蔵人さんと一緒なら、なんでもポジティブ。
なんでも楽しい。

 

そんなるんるん気分で、
葉月は蔵人さんと前にも何回か使ったことのあるバリ風ホテルに向かった。

 

連休直前の、「ギリギリ4月」っていう時だった。

 

 

 

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