2日目 別の顔

 

 

さて、この後、エッチしたんだったかシャワー浴びたんだか、
順番はよく覚えてないんだけど、
22時くらいまでに蔵人さんがお仕事のメールを返信しなくちゃいけないってことがあって、
そのために一旦休憩になったついでに、
蔵人さんがご自宅に電話をかけることになった。

 

「ちょっと家に電話しますから」

「どうぞどうぞ♪」

 

お泊まりだと家への電話は必須。
葉月もお部屋に入ってすぐに家に電話していた。
まして蔵人さんは何日も出張なんだからおうちへの連絡もいろいろあるだろう。
蔵人さんと葉月はお互いの家庭のことはNGじゃない。

 

「葉月、ここにいていいんですか?」

一応、気にしてみたんだけど、

「構わないですよ」

って、蔵人さんは気にしない様子。

うーん…悪人だな。
すぐ隣に裸の女を寝かせておいて、平然と家に電話をかける男…。


蔵人さんの声

でも、おうちに電話が繋がって、 奥さまとお話してる蔵人さんの顔が、
急に「お父さん顔」になってるので葉月はちょっとドキッとした。
人の顔って、相手によってこんなに変わるものなんだなって思った。

 

あぁ、蔵人さんの「素」ってこんななんだって、葉月は初めて知った。
なんて言うか…、「優しい夫で、優しいお父さん」って感じ。
話の内容は、家庭内業務連絡みたいなことと、お嬢さんのバレエの発表会の衣装のことなんかだったけど、
本当に「いいお父さん」だよなぁって思った。
だって、話し方が「お父さん」なんだもん。

 

葉月は、1mも離れてないベッドの上で、その電話を聞きながら、
「蔵人お父さん」のことをチラチラ見ていた。

目の前で奥さまと仲良くお喋りをされても、嫉妬のような気持ちはまったくない。
嫉妬なんてゼロ。これは本当。
家庭円満はお互いの絶対必要条件だ。
葉月も蔵人さんも、自分の家庭は最優先にちゃんと守っているから、
お互いの子供の話なんかも気を遣わないでできる。
だから蔵人さんがお父さん顔で電話をしている様子を見れば、
葉月もなんだか嬉しくなってくる。

良き父、良き夫である蔵人さんは、葉月が知ってる蔵人さんとは別の次元の人。
だから、どんなに優しい声でどんなに楽しそうに話をしていても、ヤキモチなんて焼かない。
ヤキモチどころか、葉月と一緒にいる時の蔵人さんとのギャップが大きければ大きいほど、
葉月は嬉しい。

 

「じゃ、おやすみ」

と言って蔵人さんが電話を切った時には、蔵人さんはまだ「お父さん」の顔だった。
それから一瞬あって、
葉月の方に向かって来てくれた時には「いつもの」蔵人さんの顔に戻ってた。


蔵人さんの声

ゾクッとした。
あぁ、この瞬間は葉月が遠くからやってきたことの最大の収穫だなって思った。

 

仮面。
どっちの蔵人さんが仮面をつけてるんだろう?

どっちも仮面なのかもしれない。
そんなことはどっちでもいい。
人はその場その場でいろんな仮面を使い分けるものだから。

 

でも、ハッキリわかったことは、「蔵人さんには葉月専用の仮面がある」っていうこと。

他の仮面をつけている蔵人さんに興味はない。
(お仕事してる時の蔵人さんに萌え〜〜なんて言うこともあるけれど。笑)

蔵人さんが葉月用の仮面をつけた時だけ、葉月は女になるし、奴隷にもなる。
出張の退屈な夜の慰み物になるために遠くからやってきたりもする。

 

葉月専用の仮面、それは葉月の「領域」だ。
葉月は自分の領域がちょっとでもあればそれで満足で、
その領域から絶対に踏み出すことはない。

それはわかっていたことなんだけど、
その仮面をつける瞬間っていうのを葉月はこの時初めて見てしまったので、
その時本当にゾクッとした。

 

男の人は…、仮面をたくさん持ってた方が魅力的だ。

 

 

 

 

 

 

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