蔵人さんの両手は、葉月のお尻を左右から抱えるような位置に添えられていた。
あー、その手でこの前みたいにお尻の肉をギューって掴んで欲しいなぁ。
そうしたらもっと気持ちよくなれるんだけどなぁ。
3Pの翌朝の、仕上げエッチの時の快感が蘇ってきた。
葉月はエッチの時に、お尻とか腿の肉を掴まれると感じる。
指先で抓られるんじゃなくて、骨を掴むように力いっぱい肉を掴まれるのが好き。
お尻に添えられている蔵人さんの手は動かない。
蔵人さんはどうすれば葉月がもっと気持ちよくなるかって知ってるはずなのに、
不自然に手を添えたままで何もしてくれない。
もちろん、腰はガンガンに動かしてくれてたけど。
…わざとだ。
わざと手を添えて葉月を焦らしてるんだ。
わかってるのに、葉月が「お願い」するのを待ってる!
この手の置き方は絶対に待ってる!
嫌な奴だ。
やっぱり蔵人さんは嫌な奴だ〜〜〜!!!
そして、そんな蔵人さんの「焦らし」をわかっていても、葉月はもう我慢できない。
ここで安っぽい意地を張っても勝ち目がないことはとっくにわかってる。
そうですよ、どうせ葉月は「痛いことはキライ!」っていつも断言してますけどね。
あんなに言い切っていたのにこんなおねだりをするのは物凄くカッコ悪いってわかってますけどね。
でもね、今はそんなこと言ってる余裕はないの。
気持ちよくなりたいの。
もっと気持ちよくなりたいの。
気持ちいいことしてもらってる時に痛いことされると感じるの。
痛いこと、して欲しいの…。
「蔵人さん!」
「なんですか?(笑)」
「お尻をギューってやってください!痛くしてください!」
蔵人さんが「ふふ」って笑ったかどうかなんてもう気にしてる余裕はなかった。
葉月は自分が痛いことをして欲しいってお願いしちゃったっていう事実にさらに感じてしまい、
蔵人さんにお尻の肉を掴まれてその痛さと気持ちよさに声にならない悲鳴をあげる。
「気持ちいい」なんて言葉では表現しきれない。
頭の中が真っ白になって、何も考えられない!
もうわけがわからない。
全身が快感の渦に吸い込まれるような状態…。
「無駄にはさせませんよ…」って蔵人さんは言ってたっけ。
無駄?
無駄なんてとんでもない!
こんなに気持ちよくしてくれるなんて、蔵人さんって凄い凄い凄い!
あぁもう、ホント凄いっ!
葉月は床にへたり込み、ベッドの縁に俯せにもたれかかってぐったりしていた。
蔵人さんは椅子に座ってそんな葉月を見下ろしてた。
葉月は上半身の体重をベッドにかけたまま、顔だけ蔵人さんの方を向いてこう言った。
「蔵人さんは『葉月が満足すれば僕も満足』なんですよね?」
「そうですよ」
「それじゃ葉月がこんなにヘロヘロになっちゃって、蔵人さんは嬉しいでしょ…」
「はい(笑)」
くうぅーー!
嫌な奴だ、嫌な奴だ、その余裕。
このところ、蔵人さんは忙し過ぎて疲れてて、「嫌な奴」度が弱まってると思ってたのに、
やっぱり蔵人さんは嫌な奴だ!
「蔵人さん…」
「はい?」
「葉月はね、おまんこでちゃんとイケたの、さっきのが3回目くらいだったんですよ〜〜」
「はい」
「その感動を分かち合いたかったんですよぉ〜〜」
「はい(笑)」
「それにね、蔵人さん!」
「はい」
「葉月ね、今日遠くからわざわざ来たんですよ?蔵人さんに会いに」
「そうですよね」
「そしたらね、まず葉月をギューって抱きしめるとかなんとかして、
『よく来たね』とか言ってくれるとかさ。
普通はそういう歓迎をしてくれるもんじゃないんですかね?」
「そうなんですか(笑)」
「そうですよ!なのに蔵人さんがしたことは、いきなり電マ攻撃ですよ?」
「あはは、そうでしたね(笑)」
「んもー、相変わらず女心を全然わかってませんよね」
「すみません(笑)」
すみませんって口では言ってるけど、全然「すみません」な顔してないですよ。
「あぁ。葉月、もう帰らなくちゃいけない時間ですよね」
「そうですね、そろそろ…」
「こんなヘロヘロで帰れるかなぁ…」
こんなにヘロヘロにしてもらったのは久しぶりだった。
ちょっとヤバいくらいに腰が抜けてた。
なんとか立ち上がってヨロヨロと身支度をする。
「シャワーは浴びないんですか?」
「いいです。もったいないからこのまま帰ります」
おまんこ周辺はねちょねちょだったけど、洗い流しちゃうのがもったいないと思った。
「明日また来ますから、お道具バッグ、置いていってもいい?」
「いいですよ」
「あー、それじゃ帰るの凄く楽です。よかったぁ♪」
時間がなかったのですぐに帰らなければならなかった。
「それじゃまた明日。今日はありがとうございました」
「こちらこそ」
部屋を出る時に、お別れのギューもなし。
まったく!
あれほど言ったのに、まだ女心がわからん男だぜ。(笑)