お泊まり1

 

 

楽しい飲み会が終わって、
お付き合いくださったお友達とホテルの前でお別れした。

ご一緒した3人のお友達は駅の方に向かわれたけど、葉月と蔵人さんはその場に残る。
今夜はこのホテルにお泊まりだから。

 

去年のお泊まりは前日から緊張して全然眠れなかったりして、
夕方くらいからガチガチになっていたけれど、
今年はお友達とのお喋りがあったのでいつも通りの葉月でいられた。

でも、二人だけになってみんなと逆方向に向かい、
蔵人さんに連れられてホテルのエレベーターに乗ったくらいから急にドキドキしてきた。

 

今日は帰らなくていいんだ。
このままずっと、朝まで蔵人さんといられるんだ。

 

嬉しいような怖いような、どうしていいのかわからないようなふわふわした感じ。
いい歳して、いつまで経っても場慣れしないというか、
「洗練された大人の女性」って感じにはなれない。

 

 

ハイクラスに分類される人気のあるホテルだ。
エレベーターを降りてお部屋までの廊下はホテルの吹き抜けの部分をぐるっと回る造りになっていて、
ガラスの壁から下を覗くと、さっきまでいたフロントが見える。
見慣れないそういう光景に、なんだか別の世界に連れて行かれるみたいな気分になる。
葉月は迷子にならないように(って言っても迷いようのない廊下の1本道なんだけど)
蔵人さんの後をちょこちょこ着いていった。

 

お部屋は洒落た雰囲気のダブルルーム。
ラブホに慣れてる葉月はここでもまた落ち着かない。(笑)

とりあえず荷物(いつもの大きなお道具バッグ)を端において、
買ってきた飲み物などを冷蔵庫にしまったりする。

 

「ちょっと先に仕事しちゃいますからごめんなさいね」

って蔵人さんが言いながらパソコンを開いてメールチェックなどを始めた。

 

「どうぞどうぞ♪」

焦らなくたって時間は明日の朝まであるんだし、
それに蔵人さんがお仕事モードの顔になってるの、葉月は大好きだ。
なんだか難しい顔でメールに返信してる。

あぁ、その顔好きです!
いつも葉月と話す時の「ふふん」って感じじゃなくて、笑ってないマジ顔。
あーうー、ちょっとじゅるっと来ます…。


蔵人さんの声

でも、葉月が傍で覗き込んでばかりいたらお仕事の邪魔になると思って、
葉月は葉月でさっきまで飲み会に付き合ってくれたお友達にお礼のメールをしたり、
携帯から裏葉月のBBSをチェックしたりしてた。

それでもまだお仕事は終わらないようだったので

「蔵人さん、先にシャワー浴びさせてもらっていいですか?」

って言ってみた。

「うん、どうぞ」

葉月が退屈そうにしてるよりも違うことしてた方が蔵人さんも気が楽だろうと思った。
本当は蔵人さんがお仕事してるデスクの足元に全裸で潜り込んで足のせになってみたかったけど
(そういうこと、いつも妄想してるので)
お仕事のお邪魔になると思って言い出せなかった。


蔵人さんの声

その後、蔵人さんもシャワーを浴びて寛ぎモード。
蔵人さんは椅子に座って、葉月は床に座る。

椅子はデスク用のものひとつしかなかったんだけど、2つあったとしても葉月は床に座る。
この体制っていうか、「位置関係」が葉月は一番落ち着く。
蔵人さんがベッドの縁に腰掛けてる時も、葉月は床に座る。

 

「こっちに来ればいいのに」

っていつも言われるんだけど、なんだかもったいなくてダメなんだ。
同じ高さの目線だと、そわそわしちゃっていたたまれなくなっちゃう。
葉月ってやっぱり、犬体質なのかも知れない。

 

いろいろお喋りをして、0時は回っていたはずだ。
1時に近かったかも知れない。
蔵人さんは次の日もお仕事が早いのでそろそろ寝なくちゃってことになった。

葉月が壁側、蔵人さんが部屋側に寝ることにして、
ベッドカバーみたいな薄い掛け布団をめくってその中に潜り込む。

蔵人さんが枕元のスイッチで部屋の照明を消してくれたんだけど、
その時わざと真っ暗にしないでどこか1ヶ所だけ明かりをつけたままにしてたみたいだ。
だから前の時みたいな「真っ暗くらの暗闇蔵人くん」状態にはならない。

 

真っ暗にしないんだ。
まだ寝ないってことなんだ。

そんなことを思って何かを期待する。

 

年に一度(たぶん)のお泊まりデート。
本当の「特別な夜」はこれから始まる…。

 

 

 

 

 

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