バリ風ホテル 1

 

 

 

2月はスイートルームでのオフ会があったので、保護者ルームの開催はなかった。

オフはオフで楽しかったからいいんだけど、
「保護者ルーム」としては1月の姫始めデートから2ヶ月近くが経過しようとしていた。

 

ちょうど葉月の仕事が忙しい時期に突入していて、毎日毎日仕事仕事で息が詰まっていた。
蔵人さんへのメールも、仕事の愚痴が多くなる。
その忙しい時期のさらにピークの日に、
蔵人さんとの今年2回目の「保護者ルームデート」(要するにエッチデート)をすることになった。

本当なら「こんな忙しい時に絶対無理!」っていう時だったけど、
葉月は仕事の調整をして蔵人さんに逢いに行くことにした。
おまけに前日、蔵人さんにこんなメールを出していた。

 

毎日忙しくて参っちゃってて…。
そんな自分をリセットしたい気分なんですよね。
目茶苦茶ヒドイこととか、ど〜んとミジメな気持ちになるようなことされたい。
再起不能になるくらいに。
そしたら明後日からまた元気に働けるかなぁ、なんて思って。

いつもと違うんですよね。
いつもはデートの前の日には「蔵人さんとラブラブしたいなぁ」って思うんですけど。
本当に参ってるのかも。

 

こんなメールを出すなんて、葉月はちょっとおかしくなってたかも知れない。
仕事はちゃんとしていたし、精神的に不安定だったわけではないんだけど、
気持ちがとても疲れてた。

こういう時に「虐められたい」「ヒドイことされたい」って思うのはどうしてなんだろう?
「楽しいことしたい」「優しくされたい」とも思うけど、それだけじゃなくて、
自分をどーんとミジメなところに堕としたいって思う。


蔵人さんの声

いつもの喫茶店で蔵人さんと会って、しばらくお喋りして、
食事をしたらもう午後2時をまわっていた。

BBSでも話題になっていたバリ風のホテルに向かった。
前にも一度行ってみたんだけど、その時は満室で入れず…。
今日こそは、と思って入ったんだけど、この日もやっぱり満室。

 

「ただ今清掃中なので20分ほどお待ち頂きますが…」

とフロントのお姉さんが言った。

 

「どうしますか?」と蔵人さんが葉月の方を見て聞く。

この日は保護者ルームの後にgenomic2pさん(ジェノさん)との会合の予定が入っている。
ジェノさんとのお約束があるからいつもみたいにゆっくりできないけど、
今日はなんだかいつもと違うところに行きたかった。
現実逃避の中の現実逃避?

 

「待ちます!」と葉月は答えた。

 

 

このホテルが普通のラブホと違うのは、
ロビーが広くて、嫌らしい感じがまったくしないところ。
ビリヤードやダーツで遊ぶこともできるし、バーみたいなところもある。
雑貨を売ってるショップもあるし、噴水を眺めながらお喋りできるソファーなどもある。
1階全部がゆっくり時間を過ごせるパブリックなスペースになっているのだ。

葉月と蔵人さんは待ってる間、ロビーのマッサージチェアー(←最新式)に並んで座った。
葉月はマッサージマニアで万年コリコリ女なので、マッサージチェアーも大好きだ。

「蔵人さん、これ、いい気持ちですねぇ♪」

「背中がちょっと痛いです…」

い、痛いのか…。
こんなのが痛いとは、まぁお若いこと!

 

「それより僕は、この匂いがダメです」

「ニオイ?」

言われて気付いたけど、バリ風のホテルだから、
ロビーは独特の「お香」の香りで充満してる。

 

「こういうの、ちょっと苦手なんです。女性の香水が強いのとかもダメで…」

「へぇ〜!」

蔵人さんが苦手なモノの話をすることなんて滅多にないのでちょっと新鮮だった。(笑)

蔵人さんって人の悪口は言わないし、食べ物でも女性のことでも「好き嫌い」の話をすることって皆無。
いつも「葉月さんの好きな物でいいですよ」とか
「葉月さんが喜んでくれるなら僕は構いませんよ」とかってことばかり言っている。
最近葉月はそのことをよく指摘して
「蔵人さんの希望とか欲望とかはないんですかっ!」って突っ込んだりしている。

だけど、そんな蔵人さんでも苦手なものってあるんだ〜って思ったらなんだか嬉しくなっちゃった。


蔵人さんの声

 

20分も待たないうちに、呼ばれてお部屋に入ることができた。
普通サイズのお部屋だったけど、噂通りの素敵なお部屋。

大きなモニターではビーチの映像が流されていて波の音が聞こえている。
床はフローリングで、調度品にもこだわっている感じ。

 

「じゃ、写真撮りましょうか。そこに座って」

ドレッサーの椅子に座ってポーズを取って、撮ってもらった写真がTOPページにも貼ったこの写真。

 


蔵人さんの声

余裕あるように見えるけど、
実は葉月はお部屋に入った頃からちょっと緊張し始めていた。

喫茶店で楽しくお喋りしている時には忘れていたけど、
蔵人さんと二人っきりになると昨夜からの虐められたいモードが復活してくる。

いつもよりかなり、ドキドキしてる。
体が硬くなってるような感じが自分でもわかる。
期待もしてるし楽しみなんだけど、息が詰まるような、憂鬱なような…。
そして口数が少なくなる。

 

「蔵人さん…、葉月、今日はなんだか、いつもとちょっと違うみたいなんです。
いつもよりドキドキしてます…」

そんな気持ちを打ち明けた。

 

「それじゃまず、お風呂入りましょうか」

って蔵人さんが言った。

あ、いつもと違う展開だ。
蔵人さん、さすがだなって思った。

 

葉月はこの時、たぶん「見るからにガチガチ」だったんだろう。
だから葉月がリラックスできるように先にお風呂に誘ってくれたんだなって思った。

 

 

 

 

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