宴の後の後の後(うたげのあとのあとのあと)

 

 

時刻は11時を回っていた。
チェックアウトは12時だから、そろそろ啓太さんを起こして撤収しなければ。

ベッドルームに戻ると、啓太さんはまだ爆睡していた。(笑)
啓太さんも、お仕事忙しくて疲れてるんだなーって思った。

 

「啓太さん、啓太さん!そろそろ起きないと」

「うおー、よく寝たぁ!今何時?」

「11時過ぎ」

「ええーーっ?もうそんな時間なんだぁ!葉月さんも今起きたとこ?」

「ちょっと前に起きて、蔵人さんにエッチしてもらってた(笑)」

「えっ?マジーーー??(←残念そうに)」

「啓太さん、知ってて寝たフリしてくれてるのかと思ってたよ(笑)」

「いやー、全然わかんなかった。ってか完全寝てた、俺…」

 

ということで、バタバタと撤収作業をして、
コーヒーを飲む時間もなくチェックアウト。

朝ご飯も食べられなかったし、ちょうどお昼の時間だったので、
3人で一緒にランチをすることになった。

 

「でもあれでしょ?俺なんかいたら邪魔でしょ?」

って気を遣ってくれる啓太さんに

「ぜーんぜん!」

って答える。
蔵人さんと2人っきりになるよりも、3人でお食事したいと思った。
たぶん、蔵人さんも同じ気持ちだっただろう。

 

ホテルの中のレストランで、ランチバイキングを食べることにした。
さすが一流ホテル、おいしそうなたくさんのお料理が並んでる。

3人それぞれに自分の好きなお料理をお皿に取ってきて席に戻った。
そのお料理を見て、葉月は笑ってしまった。

蔵人さんの主食はピラフみたいなご飯もの、啓太さんはパン、葉月はパスタ。
あはは、みんな違うじゃん。(笑)

 

「3人でこうして一緒にいるとさぁ、俺達ってどういう関係に見られるんだろうね(笑)」

って啓太さんが笑いながら言ってた。

そうだよねぇ。
蔵人さんと葉月は夫婦には見えないし、仕事関係の知り合いって感じに見えるのかなぁ。
啓太さんは年齢的には「葉月の弟(もしくは蔵人さんの弟)」って感じだけど、
顔はまったく似てないし、
血が繋がってるような慣れ慣れしい感じでもないしね。
啓太さんは蔵人さんにも葉月にも丁寧語でしゃべるし。
蔵人さんも葉月も、啓太さんのことを「啓太くん」とは呼ばずに「啓太さん」と呼ぶ。

本当に「変な関係」だ。(笑)
でも、だからこそしっくりくる。
それぞれに個性が強いからお互いに刺激を受ける。

 

葉月は、啓太さんが蔵人さんと同年代の、似たタイプの男性だったら好きにはならなかっただろう。
葉月が「蔵人さんを好き」なのと「啓太さんを好き」なのとは、「好き」の種類が違う。
どう違うのかは今はまだうまく言葉にできないんだけど、でも違うことは間違いない。
種類が違うから葉月は、蔵人さんに「啓太さんが好き」って言えるんだ。

 

3人でお食事をしながら、葉月はこんなことを言い出した。

「ねぇねぇ、蔵人さん。
葉月はいつも蔵人さんに『啓太さんが好き』って、言ってたじゃないですか。
葉月が啓太さんのどういうところが好きなのかとか、わかりました?」

「わかりましたよ(笑)」

「でっしょー?啓太さん、いい男ですよね♪」

「うん。それに、葉月さんには啓太さんみたいな人の方が合ってるんじゃないかな」

「合ってるって?」

「彼はストレートでわかりやすいでしょ?」

「蔵人さんは屈折してる?」

「そう(笑)」

ひがんでる言い方じゃなくて、蔵人さんはおもしろそうにそんなことを言っている。

あははは、なんだかよくわからないけど、
蔵人さんが啓太さんのことを気に入ってくれたみたいだから嬉しー♪

 

それから、この時のお食事で「おもしろいなぁ」って思ったのは、
この時間で一番会話をしていたのは「蔵人さんと啓太さん」だったっていうことだ。
蔵人さんと葉月でもなく、啓太さんと葉月でもなく。

まぁ蔵人さんとしては蔵人さんが葉月とばかり会話してたら啓太さんが「お客様」になってしまうので
そうならないように配慮してくれてたってことなんだろうけど、
でも葉月にとっては、蔵人さんと啓太さんが仲良くお話をして、
しかも社交辞令じゃなくて楽しそうにお喋りしているのを見ているのはとても嬉しいことだったし、
楽しくもあった。

誰かを呼んできて3Pして、
終わったら「それじゃどうも」ってその人は帰っちゃう「イベント」ではなくて、
この時3人でお食事できていろんなお話をできたっていうことは、
凄いことだよなって思った。

 

「また時々3人で遊びましょう」

そんな言葉でお別れすることになった。

 

葉月はこの後、ちょっと用事があって、早く帰らなければならなかったので、
車で来ていた啓太さんに途中まで送ってもらうことになった。
その時の状況だけが、ちょっと心残り。

昨日と今日、葉月をこんなに楽しませてくれたのは蔵人さんなのに、
その蔵人さん1人を駅まで歩かせちゃって、葉月は啓太さんと車。
娘を嫁に出す父親の気分を味あわせてしまってるかも?って思った。

蔵人さん、駅までの道、淋しかったですよね。
ごめんなさい。

あの時の気持ちは、葉月が結婚する時(かなり昔の話だけど)、
朝、父親が出勤する時に、玄関で見送って、

「お父さん、今日、籍入れてくるから」

って言った時の気持ちに物凄くよく似てた。

父は

「そうか…」

って言って、顔は笑ってたけど少し淋しそうな顔してた。

あの時の父の顔は、今でも忘れられないんだよね…。
葉月は別に、蔵人さんから嫁に出されるわけではないんだけど(笑)、
何故かちょっとだけ、蔵人さんが昔の父の記憶と重なった。

でも葉月は嫁になんて行きませんから!
嫁になんて行きませんから〜〜〜!!!(笑)

 

 

凄い経験をさせてもらって、奇妙な三角関係ができあがった日。
葉月は、長い長い2日間をこうしてめいっぱい楽しませてもらって、
日常の世界に戻ったのだった。

 

蔵人さん、啓太さん、ありがとうございました。
葉月はこの日のこと、一生忘れません!

また3人で遊べる機会がありますように。


蔵人さんの声


啓太さんの声

 

 

 

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