宴の後(うたげのあと)1

 

 

裏葉月の5周年の飲み会が終わって、二次会のカラオケも終わって、
最後まで残っていたみんなと駅で別れて、
葉月は蔵人さんとホテルに向かった。

チェックインした時にはサザンテラスのイルミネーションで人も光も賑やかだったのに、
ホテルに戻った時には深夜の静かな雰囲気になっていた。

 

予約したホテルのお部屋は、夜景がとてもとてもとてもとても綺麗だった。
葉月が今まで見たことのある、どの夜景よりも綺麗だった。

お部屋の2面が大きなガラス窓になっていて、どちらを見ても東京の夜景が一望できる。
「宝石箱をひっくり返したような」という表現があるけれど、まさにそんな感じ。
新宿のど真ん中でもこんなに現実離れした素敵な空間があるんだなって、
夢の中にいるみたいな気分だった。

 

サイトの5周年飲み会が無事に終わったこと、
たくさんの人が集まってくれて楽しい時間を過ごせたことで、
葉月はハイテンションになっていた。
忙しい蔵人さんが都合をつけて参加してくれたこともハイテンションの大きな理由のひとつだった。
葉月は飲み会で葉月がどんなに楽しかったかを蔵人さんに語りまくり、
参加者のみなさんから頂いたお土産を蔵人さんに見せたりして、
しばらくはそのハイテンションモードを引きずっていた。


蔵人さんの声

「そうだ。この綺麗な夜景の写真を撮っておかなくちゃ。」

綺麗に撮れるように部屋の明かりを消してもらったりして、
それから窓ガラスにカメラのレンズを密着させたりして、
葉月は何枚か夜景の写真を撮った。

 

何枚か撮ったところで、蔵人さんが葉月を後ろから抱きしめてくれた。
葉月はカメラを持ったまま、動けなくなった。

 

はふぅ〜〜。
あぁ、これこれ。
これが気持ちいいんだよなぁ〜〜。
すっごく安心して、ほわっとした気分になる。
背中から蔵人さんがじわじわ染み込んでくるような感じ。
葉月は蔵人さんにしてもらう行為の中で、これが一番好きかも知れない。


蔵人さんの声

すっごい気持ちよさを感じながら、葉月はそのまま窓の外の夜景を見ていた。
こんなに綺麗なところで、蔵人さんに抱きしめてもらってる葉月って、
世界で一番幸せ者かも知れないって思った。

こんな最高のことを経験しちゃったら、もう後は下り坂にしかならないんじゃないかって、
そんな心配をするほど幸せな気分だった。

 

「蔵人さん…」

「なんですか?」

「今日は来てくれてありがとうございました」

「いえいえ」

「とっても嬉しかったです。蔵人さんが来てくれて」

「それならよかったです」

 

葉月は窓の外を見たまま、話し続けた。

「3周年まではね、リュウさんが一緒に参加してくれてたんです。
でもそのあとお別れしちゃったので去年の4周年の時に初めて、葉月は単独参加だったんですよ。」

「うん」

「その時にね、淋しいって言うよりもなんだか体とか心とかがスカスカするような感じがしたんですよね。
隣に誰もいないっていうのはこういうことなんだなって実感したって言うか…。」

 

蔵人さんは何も言わないで葉月の思いを聞いていてくれた。

 

 

「だから…今年は蔵人さんが来てくれて本当に嬉しかったです。凄く嬉しかったんです…」

 

蔵人さんはまだ葉月を抱きしめてくれてた。
ずっとこのままでいたいと思った。

 

「綺麗だなぁ…」

葉月は夜景を見ながら呟いた。
本当に、思わず呟いてしまうほど綺麗な夜景だった。


蔵人さんの声

「蔵人さん…。葉月、今夜のこと、一生忘れない」

蔵人さんに、というよりは、夜景に語りかけてるみたいな感じだった。


蔵人さんの声

 

 

 

 

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