初めてのお泊まり

 

 

蔵人さんが出張で泊まりのお仕事があるって話になった時に、

「葉月さんはお泊まりダメなんですもんね」

って軽く言われた。
誘われたっていうよりも、「無理なんですよね」っていう確認程度の会話だった。

 

確かに葉月は今まで、お泊まりデートっていうのをしたことがない。
それは、「できない」っていうよりも「してはいけないこと」って自分で定めた掟のようなもので、
今まで何度か他の人に誘われたことはあったけど、全部お断りしてきた。


蔵人さんの声


だけど、この時の蔵人さんの一言に葉月は反応してしまった。

「そのお返事、ちょっと待ってもらえますか?」

そう答えた時には、自分の中ではもう「行く!」って決めていた。

どうして行こうと思ったのかな。
蔵人さんのお仕事が忙しくて、この日を逃したら当分会えないかも知れないっていう現状もあったけど、
「お泊まり」っていうものがどういうものなんだか興味があったのと、
それからやっぱり、「蔵人さんと一晩一緒に過ごしてみたい」っていう気持ちが強かったんだろうと思う。

 

 

初めてのお泊まり…その日が近づくにつれて緊張してきた。

お泊まりって、どういうものなんだろう?
男の人と2人で泊まったことなんて、
子供が生まれる前に夫くんと旅行に行ったのがたぶん最後だよなぁ。

ううう〜、どうしようどうしよう…、
お泊まりっていうもののイメージが湧かない!
何を持って行けばいいんだろう?

悩んだ末に今回のお泊まりのために葉月が用意をしたものは…

 

パジャマ。

 

買ったのは唯一これだけ。
お泊まりと言えばパジャマっていう、修学旅行レベルのイメージしか湧かない!
(そんな自分に「とほほ」です)

葉月はいつものお道具バッグに下着と洗面道具と前髪を伸ばすアイロンとパジャマだけ足して、
お泊まり準備は簡単に終わってしまった。

 

準備はできたけど、前の日は何時になっても眠れない。

眠れない。
眠れない。
眠れない。

早く寝なくちゃって焦るんだけど、焦ると余計に眠れない。
結局明け方、5時くらいになってからうとうとし始めて、
1時間くらい寝たのかな?そんな状態で葉月はお泊まりデートに向かうことになった。

 

お泊まりと言っても旅行するわけじゃない。
蔵人さんの出張先に夜お邪魔するだけ。
葉月はその日、一日中会社の研修で缶詰め状態の日だったので、
研修に大きなお道具バッグ持参で参加し、
同僚に怪しまれながら時間になったらさっさと研修会場を後にした。

蔵人さんの宿泊先に着いたのは夕方6時を過ぎていた。

 

 

メールの遅達でちょっと行き違いになっちゃったんだけど、
でもホテルのロビーで無事に蔵人さんと会えた。
蔵人さんはいつも通りの落ち着いた癒し系笑顔だったけど、
葉月の気持ちはいつもと違ってた。

 

今日は帰らなくていいんだ〜。
ずっと蔵人さんと一緒にいられるんだ〜♪

 

って、そのことに特別な解放感を感じていた。

 

独身時代は箱入り娘で門限21時半という生活。
結婚してからはすぐに子供ができちゃったから外泊どころか外出もままならないような生活。
最近になってからもいつも時間を気にしてた。
だけど、今日は帰りの時間を気にしなくていい。
蔵人さんとずっと一緒にいられる。

葉月にとってはそれが一番嬉しいことで、
そんな葉月の記念すべき「お泊まりデビュー」を、
大好きな蔵人さんと果たせることがこれまたとっても嬉しかった。

 

「じゃ、まず部屋行きましょうか」

って蔵人さんが言って、葉月は

「はい」

って答えて、先にチェックインしていた蔵人さんの後についてお部屋に向かった。

 

お部屋に入ってまたまたビックリ。
この前のホテルデートの時のお部屋も素敵だったけど、
この日のお部屋はもっと広くて見晴らしがよくてとっても素敵!

 

「あれ?ツイン(ルーム)じゃないですか!」

「ええ。さっき変えてもらいました。葉月さん来るから」

「えええっ!そうなんですか。すみません」

 

出張先にお邪魔するんだから当然シングルで、葉月はこっそりお邪魔することになるんだろうと思ってた。
それでも充分幸せだったんだけど、でも蔵人さんのこの気持ちは嬉しいなって思った。
お泊まりデビューするには申し分のない素敵なお部屋。

 

しばらくお部屋でお話しした。

「そろそろ食事に行きましょうか?」

「はい」

「また電波系、つけていきます?持ってきてるんでしょ?」

「あ、はい…持ってるけど…」

葉月はちょっと考えて

「今日は普通にお食事したいです」

って言っちゃった。

 

この前のお尻とおまんこのダブルぶるぶるデートも楽しかったけど、
せっかくの夜のお食事デートだったのにお話しした内容を全然覚えてない。
今日こそはせっかくのお泊まりだし、
蔵人さんと「普通の夜のデート」をしたいなぁ、なんて思ったからだった。

 

「いいんですか?それじゃ行きましょう」

って、蔵人さんも無理強いしない。
葉月は蔵人さんの後についてお部屋を出た。

 

この日はドイツ料理のお店に入った。
お食事しながら蔵人さんと楽しくおしゃべり。
おいしい料理とおいしいビール。
食べ終わった後、まっすぐホテルに戻らないでちょっとお散歩することにした。


蔵人さんの声


ホテルの周辺は遊歩道になってたり公園があったりして夜のお散歩には最適。
カップルさん達のデートコースにもなってるみたいで、周りを見回すと二人組の影ばかり。
みんな、寄り添ったり手を繋いだりしてる。

 

「僕達、この公園の平均年齢をぐっと引き上げてるみたいですね」

「あはは、そうですね」

「せっかくこういうところに来たから…」

蔵人さんはそう言って、葉月の手を取った。

 

え?
えええっ?

 

手を繋いでもらってるよ、葉月。
うわわわわわっ!

 

 

って、いつもこんなリアクションばかりで申し訳ないけど、
葉月は蔵人さんと手を繋いでもらったのはこの時が初めてだったんだ。

今まで何度も、本当に何度も、一緒に歩いてる時に「手…繋ぎたいなぁ」って思って
何度も「ダメですか?」って言おうと思ってたんだけど、
そう思う時は大抵いつも昼間だったし、
それに大抵いつも葉月は大きなお道具バッグを持ってるので
(とても重いので時々持ち替えないと持っていられない)、
それを言い出せなかったんだ。


蔵人さんの声

この日はバッグはお部屋に置いて行ったので、小さいハンドバッグだけだった。
そんなこともお泊まりのメリットかも。

そんな訳で、葉月は初めて蔵人さんと手を繋がせてもらって心臓がドキドキで、
体中から汗が出てきた。
嬉しくて胸がキューンとなっていた。
蔵人さんの指は葉月のおまんこにもお尻の穴にも何度も入ったことあるし、
蔵人さんの手は葉月の体のほとんどのところを撫でたり叩いたりしたことがあるのに、
まだ手だけは繋いだことがなかった。
なんだかホントに順序が変だ。(笑)


蔵人さんの声

「そういうことしちゃダメだって言ってるのに〜〜」

葉月は前回のデートで言ったのと同じことをもう一度口にした。
恋人同士みたいな行為を葉月に覚えさせちゃうとその気になっちゃいますよっていう意味だ。

 

「それじゃ、やめますか?」

「え?やめませんよ。やめません!せっかくですから♪」

そんなもったいないこと、できるはずがない。

 

それからずっと手を繋いだままでお散歩。
コンビニで飲み物を買って、
葉月と蔵人さんは「まるで恋人同士のように」ホテルのお部屋に戻ったのだった。

 

 

 

 

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