ロマンティックでエロティックな夜【4】

 

 

蔵人さんがバスルームに行って部屋に1人になると、
ドキドキを鎮めるどころか、余計にドキドキしてきた。

蔵人さんがシャワーを浴びている音が遠くで聞こえてる。
葉月はこの時間をどうしていたらいいのかわからなくて、
窓のカーテンを少し開けて窓際で外の景色を見ていた。

 

外はもうすっかり真っ暗な時間になっていたけど、
ホテルの周りには他のホテルや大きな駐車場などがあって、その照明で明るい。
遠くの方を見ると夜景がとても綺麗だった。

葉月は高いところからの景色が好きだ。
先日行った岐阜城からの眺めもとっても綺麗で、葉月はいつまででも眺めていられると思った。
この時の窓からの景色も高いところからで、
しかもいろいろな照明がイルミネーションのように輝いていて、本当に綺麗だった。

下の方を見ると駐車場の隣にナイターのできるテニスコートがあって、数人の人達がテニスをしている。
駐車場にはたくさんの車が止ってて、
その車に駐車場のオレンジ色のライトがあたって、どの車のボディもキラキラ光ってる。

時折、ホテルの前の道を車が通りすぎる。
そのヘッドライトの動きも光が流れて行くようで素敵だった。
ホテルの前を通り過ぎた車は、必ず1つ目の交差点でブレーキを踏む。
ヘッドライトの流れる白い光とブレーキランプの赤い光の点滅の調和が、
また見ていて飽きない。

 

素敵なところだなぁ…。
って、葉月は景色に見入っていた。

だから、蔵人さんがバスルームから出てきたことに全然気がつかなかった。
蔵人さんが葉月の背後に来て、窓ガラスに影が映った時に初めて、
蔵人さんがすぐ後ろにいることに気づいてドキッとした。

 

葉月が何かを言う前に
蔵人さんは葉月の後ろから手をまわして、優しく抱きしめてくれた。
突然のことだったので心の準備ができていなくて、葉月はそれだけで動けなくなった。
(本当にこういうことに場慣れしてないのよね。とほほ)

 

「テニスやってる人がいるんですね」

蔵人さんが葉月の肩越しに外を見て葉月にそう言った。

「あ、はい。そうですね…」

と答えたような気もするけど、頭の中はパニックだった。

 

 

蔵人さんに後ろから抱きしめてもらいながら、葉月はまだ外の景色を見てた。
その時見ていた景色は今も葉月の脳裏に焼き付いているけれど、
それと同時に葉月はその時、物凄い気持ちよさを全身に感じてた。

抱きしめてもらうって、なんて気持ちいいんだろう。
こんな気持ちいいことって他にない。
うん、他のどんな行為よりも葉月は好きかも知れない。
この全身が痺れるような心地よさと安心感は一体なんなんだろう?って不思議なくらいだ。
まるで夢の中にいるみたいにフワフワした気分。

 

照れ隠しもあって、蔵人さんに何か言わなくちゃって思って、

「蔵人さん。すごく気持ちいいです。葉月はここのところ、もしかしたら性感帯かも知れません」

なんて、葉月は自分の二の腕のところをちょっと動かしながらそう言った。

 

「縛られる時もここに縄がかかるとキュンってなるんですよ」

「そうなんですか?」

って言って、蔵人さんは少し力を入れて葉月をさらにギュッと抱きしめてくれた。


「はぁ〜〜っ」

もうダメだ〜〜、もう耐えられない!
素敵だ。
素敵過ぎる。

こんな綺麗なところで、こんな素敵な空間で、こんな気持ちいいことされて、
葉月はどうしたらいいのかさっぱりわからない!
わからないけど、なんだか素敵すぎて泣きそうだった。

この後、何か少し話をしたような気がするけど、もう舞い上がってて覚えてない。
葉月は逃げるように「シャワー浴びてきますね」って言ってバスルームに入った。

 

シャワーを浴びながら葉月は考えた。
まったく、アタシってなんてお子ちゃまなんだろう?
どうしてこういう普通のことで一々ドキドキして、パニックになっちゃうんだろう?
完全にムードに飲まれてる!
いや違う。飲まれるなら飲まれちゃえばいいのに、
肝心なところでどうしていいかわからなくなっておどおどしちゃう。

まったく洗練されてない自分の身のこなしに、葉月は自分でダメ出ししてた。

 

シャワーを浴びて部屋に戻ると蔵人さんはテーブルでパソコンを開いてた。
ホテルのLANでネットに接続できるらしい。
裏葉月のへなちょこBBSを見て、
「今日もみなさんがいろいろ書いてくれてますよ」っていうようなことを言って葉月に見せてくれた。

 

「何か書きますか?」

「いえ、いいです。後で帰ってから書きますから」

「あの自己紹介板もずいぶん盛り上がりましたよねぇ」

「ホントですよね。ありがたいことです。蔵人さんもご登場くださってありがとうございました」

「いえいえ」

 

そんな話をちょっとして蔵人さんはパソコンを閉じて、会話が途切れた時に

「じゃ、どうぞ♪」

って、ベッドの方に手を差し出して葉月を招くような仕草をした。
葉月はまたそこでドキッとした。
(もー、今日は何をやってもドキドキしてるよ)

 

 

蔵人さんが上を向いて横たわっている隣に、葉月はペトッと貼り付かせてもらった。
なんだかそれだけで安心で、すっごく気持ちいい。
できるだけ多くの面積をくっつけていたいと思う。
本当に葉月は全身でペトッとくっついていた。

「ねぇ、蔵人さん」

「はい」

「さっきみたいにね、
普通に抱きしめてくれたり普通にキスしてくれたりすると葉月はすっごく気持ちいいんですけどね」

「そうですか(笑)」

「はい。でも、ああいうことすると葉月はオモチャやワンコでいられなくなりますよ?」

「うん?」

「普通の恋人同士みたいな気分になっちゃうってことです。 それだと蔵人さんは困るんじゃないですか?」

「葉月さんはどっちの方がいいんですか?」

「へ?それを葉月が選んでいいんですか?ていうか、選べるんですか?」

「いや…僕がその時の気分でやりますよ♪」

「なんなんだ。そりゃ?( ̄д ̄)」


葉月がこの時聞いたことは、葉月が本当に聞きたいことだった。
葉月はこの時まで、もうちょっと厳密に言うと前の2時間デートの前くらいまで、
自分は「蔵人さんの気が向いた時だけ遊んでもらうオモチャ」っていう立場を守ろうと思ってた。
そのつもりだったし、それ以上の気持ちを持ったらいけないんだって、自分に言い聞かせて来た。
毎回とっても気持ちよくしてもらって、それだけでも充分満足してた。
「気が向いた時だけ」って言ってはいても、なんだかんだ言っても月一回ペースでは遊んでもらえてる。
そのことだけでもう蔵人さんには感謝の気持ちでいっぱいだ。

そして毎回、葉月は「今日が最後でもいい」って思ってた。
次を期待しちゃいけないんだって自分に言い聞かせてた。
実際、次への期待よりも大きな感謝の気持ちをいつも持っていたから、
今日ここで関係が終わっても感謝以外の気持ちは持たないでいられるっていう自信があった。
それが「遊んでもらう」ってことの覚悟だと思ってた。

だけど、「恋人」のポジションを意識しちゃうとそうはいかなくなる。
オモチャの立場を忘れた葉月はきっとどんどん蔵人さんを好きになる。
それでも蔵人さんがあくまでも葉月をオモチャ扱いしててくれれば
葉月は自分の立場を思い出して踏み出した足を引っ込めることができるだろう。

だから、蔵人さんにはそういう態度でいて欲しかった。
っていうか、そういう態度でいてもらわなくちゃ困るって葉月は思ってた。
気が向いた時に遊ぶオモチャには、おいしい蜜の味を教えないで欲しい。
最高の蜜の味を知らなければ
今の蜜だって充分満足なんだから。



そもそも、オモチャを抱きしめたりキスしたりしないだろー!
そういう「普通に気持ちいいこと」を葉月に教えちゃうと大変なことになりますよ!ってことを
蔵人さんに忠告したかったんだ。

なのにまた煙に巻かれた…。(とほほ)

 

そういう大事な話をしてるのに、蔵人さんはわかってるのかわかってないのか、
ベッドの上で葉月を料理し始めた。
この体制になっちゃうともう葉月は難しい話は一切考えられない。

この時葉月が考えていたのは、「大きな声を出しちゃいけない!」っていうただそれだけだった。
ラブホじゃない、普通のホテルだから。

葉月が唇を噛んだり、枕を口に押し当てたりしてそのことに頑張っているのに、
蔵人さんはまったく手加減なしに葉月の気持ちいいことばかりしてくる。
声を出すなとも言わない。

 

「葉月の声…、聞こえますよね?」

「さぁどうでしょう。聞こえてるかも知れませんね」

って、それを楽しんでるみたいだ。


蔵人さんの声

 

 

この時はお道具はほとんど使わずに「ほぼ丸腰」でのエッチだったんだけど、
途中で蔵人さんはローターを葉月のお尻に入れてきた。

お尻にローター入れても気持ち悪いだけで絶対に感じない。
それが葉月の長年の経験に裏付けされた持論だったし、ポリシー(笑)でもあったんだけど、
そのポリシーはつい先ほどあっさりと撃沈されている。
食事の時からずっとぶるぶる振動に慣らされていたお尻は、
この時再びローターを入れられればすぐに気持ちよくなれるようになってしまっていた。
ううう〜、そんな自分がミジメだし、ものすごい屈辱感だ。
でも実際に気持ちいいんだからその事実を認めざるを得ない。

お尻にローターを入れたまま、蔵人さんがおまんこに挿入…。
この「お尻ローター+おまんこ本挿入」の行為は今まで何度かされたことがあるけれど、
お尻が気持ち悪いだけで特別な快感はなかった。

 

だけど、この時はなんだかすっごく気持ちいい!

あれ?あれ?気持ちいい!
お尻も気持ちいいしおまんこも気持ちいい。
あうぅ〜〜、なんだか両方がとろけるみたいな気持ちよさだ〜〜。

 

悔しいなってその時思った。
あんなに自信を持って「気持ち悪いだけ」って言い放ってたお尻のローターで
気持ちよくなっちゃって喘いでる自分を認めたくなかった。
だけど、そんな自尊心はこの時の気持ちよさに比べたら些細なことで、
すぐに快感の波に流されて行った。

その自尊心が流されたあと、やってきたのは「あぁ、この人にはかなわないな」っていう敗北感だった。
どんなにムキになっても、どんなに不平を漏らしても、
蔵人さんには結局気持ちよくされちゃう。
蔵人さんの前では葉月って、なんて小さな存在なんだろうっていう自覚。

 

快感のうねり中で、葉月はそれを認めるしかなかった。


 

 

 

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