憂鬱その1

 

 

 

お部屋に入って、カメラのチェックをしたり、バッテリーの充電をしたり、
それからお道具を出したりして楽しく準備タイム♪

だけどこの日、葉月は2つの憂鬱を抱えていた。
1つは後述するけど、まずひとつは花粉症のシーズンになって全身がかゆかゆ状態だということだった。
かゆかゆだけならいいんだけど、全身カサカサして掻き傷だらけ。
ちょっと人に見せられる状態じゃない。

 

毎年この時期とアセモの時期には全身ボロボロになっちゃうので自分では諦めてるんだけど、
でも一番見せたくない人に一番ヒドイ状態を見られちゃう…
葉月にとっては覚悟のデートだったんだ。

カッコつけても仕方ない。
これからもこの季節はずっとそうなんだから隠してたって仕方ないもんなー。
それに、蔵人さんに事前に言えば「気にしないですよ」って言ってくれるに決まってる。

 

本当に嫌なら会わなければいい。
でも結局会うんだからつまらないことでうだうだ言いたくない。

リュウさんとお付き合いしている時に、
肌のことを気にする葉月にリュウさんはいつもこう言ってくれていた。
「自分に責任がないことについて負い目を感じることはない」。
リュウさんの同僚で身体に障害がある人が元気に明るく仕事をしていたっていう話を聞かせてくれて、
葉月は勇気づけられてた。

うじうじしてるよりも明るくしてた方がいいよね。
そんなことをこの数日間、葉月は考えていたのだった。

 

でも、とは言ってもね、やっぱり服を脱ぐのに勇気が要る。
葉月は、蔵人さんが「服を脱いで」って言い出す前に
自分から「シャワー浴びてもいいですか?」って言ったんだ。
なんとなく、シャワー浴びた方がちょっとでもしっとりしてマシかなぁ、なんて思ったからだ。(無駄な抵抗)

 

お部屋についてすぐにお湯を溜めておいたので、浴槽にはお湯が入ってる。
いつもよりちょっと大きめの浴槽。
重なり合わないと二人で入れないような窮屈な浴槽も多いけど、
今日は二人でゆったり入れるぞ♪

後から入ってきた蔵人さんと向かい合ってしばらくお湯に浸かっていた。
あぁ…でも、ダメだぁ、やっぱり苦手だぁ。

 

葉月は蔵人さんと一緒にお風呂に入るといつも
初めて一緒にお風呂に入った時の緊張感を思い出して胸がキュンとなる。
あれから何度も明るいところでおまんこ見られてるし、
お尻の穴もグリグリされちゃってて恥ずかしいことなんてもう何もないはずなのに、
向かい合ってお風呂に入るとダメだぁ、蔵人さんの顔をマトモに見られない。

 

「なにか…しゃべってくださいよぉ」

「どうして?」

「葉月の様子見てわかってるでしょ〜?こういう時は軽いトークとかで緊張をほぐしてくださらないと!」

「何を話せばいいんですか?」

「んもー、そういうこと言ってるから『モテない』んですよ!」

 

緊張してる葉月をまたおもしろがってるな?ってすぐにわかったけど、どうしようもない。
あー、ダメだぁ、また息が苦しくなってきた…。
この感じ、嫌じゃないんだけど、すっごく苦手だ…。
ずっとこうしていたいんだけど、でもずっとこのままだったら葉月は窒息する…。

 

何か話すことなかったっけ?なかったっけ?
話したいことはたくさんあったはずなのに、
喫茶店でもランチのお店でも散々しゃべりまくっちゃって、
こういう肝心な時に「話したいこと」が浮かんで来ない。

蔵人さんはそんな葉月をおもしろがるように「わざと」何も話さないで黙ってる。
うーうーうー、こうなっちゃうともう葉月はヘビに睨まれたカエル…。


蔵人さんの声

蔵人さんが葉月の体を触ってきた。

「はぅ…」

こういう状態になるともう葉月は完全に蔵人さんの手の平の上だ。
何をされても感じる。
いつもと違う、お湯の中での悪戯。
お湯の中なのに自分が濡れてるのがわかる。

 

と、その時!
せっかく盛り上がってるところなのに、遅まきながら「何か話すこと」が浮かんでしまった。
(我ながら遅いんだよ!とほほ)

こういう雰囲気になってしまってるんだからもう無理に話なんてしなくていいのに、
頭に浮かんでしまうとどうしても言いたくなってしまう葉月。

 

「はぅあぅ…ねぇ、蔵人さん…」

「なんですか?」

「あぅっ…ハァハァ、あのね…こんな状態の時にわざわざ言うことでもないんですけど…ハァハァ…」

「なんですか?」

「関係ないこと、しゃべってもいい?」

「いいですよ」

蔵人さんの手は葉月の言葉に関係なく動いてる。

 

「ハァハァ…あのね、今朝ね、家族全員を出したら
もう自分も家を出なくちゃならない時間で…あっ、あぅ〜…」

「はい」

「ハァハァ…それでね、自分の仕度をする時間がなくて、
『化粧をするか、お尻の毛を剃るか、どっちにするか』っていう選択だったんですよ…ハァハァ」

「ふぅ〜ん」

「結局どっちも中途半端にやってきたんですけどね…ハァハァ、あっ…うっ…」

「はい」

「それでね、あっ、あはん…来る途中の電車の中で考えてたんですよ。
どっちかしかできないとしたら蔵人さんはどっちをしてきて欲しいかなぁって…ハァハァ」

 

こういう場面で聞くことかよ?と自覚しながらも、葉月は一生懸命正気を保って言葉を発していた。

 

「そうですねぇ」

蔵人さんのしゃべり方が冷静なのがまたムカつく。
おまんこに指を入れながら話してる話し方じゃないぞ、それ。

 

「化粧かな」

「へ?そうですか、それは何故? 
は、葉月はね、ハァハァ…お尻の毛かなってハァハァ、思ってたんですけどね。
スッピン顔は見られちゃってるしお尻の毛の方が見られて恥ずかしいですから…」

「だって、お尻の毛は僕が剃ってあげられるけど、化粧はしてあげられないですからね」

「な、なるほど…そうか、そうですね…あっ、あっ、あっ…!」


蔵人さんの声

このあたりから蔵人さんの指が本気になってきて葉月はもうしゃべることはできなくなっていた。
しばらくお湯に浸かっていたこともあるけど、
気持ちいいのとのぼせてるのでもう頭の中はほわほわだ。

そのうちに浴槽の中で四つん這いのような形にさせられて、お尻にも蔵人さんの指が入ってきた。
あのズ〜〜ンとするようなお尻の中の快感が久しぶりにやってきた。
下半身を…どこをどうされていたのかわからないけど、
なんだかすごく気持ちよくて、腰から下が浴槽のお湯に溶けちゃいそうだった。

 

葉月の快感に喘ぐ声、時にむせぶ声が浴室にずっと響いていた。
響き渡る自分の声で、葉月は自分の状態を再確認することになる。
葉月は浴槽の縁に掴まって、でも掴もうと思ってもツルツルしてて全然掴めなくて、
何度もツルって手を滑らせてお湯で溺れそうになった。

顔も髪もビショビショになりながら
「化粧してきてもいきなりこれだよ。葉月はやっぱりお尻の毛が優先だな…」
なんて頭の隅っこで考えたのを覚えてる。

 

いとも簡単にこういう状態にされちゃうんだよな…。
蔵人さんのほんのちょっとの気まぐれですぐにこういう風にヘロヘロにされちゃう葉月。
こんなお風呂の中なんかで…、こんなに…こんなに気持ちよくなっちゃうなんて…。
蔵人さんの手に掛かかれば葉月なんかはほんの小さな存在だ。
その現実をこうして実感させられて、葉月はとてもミジメで悔しくて、
でもそのことで大きな安堵のようなものを感じるのも事実。

 

この時のこと、よく覚えていないんだ。
この後の残ってる記憶は、葉月が浴槽の縁に頬を押し付けているところ。
葉月の声が急に押し殺すような息に変わり、「くくぅ〜〜」っとイカされてしまった…のは覚えてる。

のぼせているのに浴槽から立ち上がれない。
蔵人さんはその時、浴槽の外にいたな。
いつ外に出たんだっけ?(覚えてない)

「大丈夫ですか?」って声をかけてくれたけど、
「大丈夫…じゃありま…せん…た、立てません…はぁ〜〜」と、
葉月はしばらくお湯に浸かったままボ〜〜ッとしていたのだった。

 

肌を気にしていたことなんて、すっかりどこかに飛んでいってしまった。


蔵人さんの声

 

 

 

 

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